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【本】占星術殺人事件(島田荘司)

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本格ミステリの巨匠・島田荘司の実質的なデビュー作であり名探偵・御手洗潔の初登場作。江戸川乱歩賞の最終選考まで残ったそうだけど受賞にはいたらず。鈴木光司『リング』と同じく理解されなかった名作でしょう。
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島田荘司といえば「新本格推理」の立役者であり今でも多くの有名作家たちが師と仰いでいるほどの巨匠。しかし賞には恵まれなかったようで後に本格ミステリの傑作とされた本作も江戸川乱歩賞の最終選考で落選している。他にもいろいろとノミネートされたようだけど受賞には至らず「無冠の帝王」と呼ばれてきた。本人も文学賞にそれほど強い執着はないようで自身の世界観を頑なに貫いてきた作家といえる。そういう作家には熱狂的なファンがつくようで後に彼は綾辻行人など若手ミステリ作家たちの名付け親になる。

新本格ミステリというジャンルはあまり一般的ではなくどちらかといえばミステリマニアとかオタクといった人たち向けだろう。いまだ日本の推理小説は松本清張の流れが主流だと思う。謎解きゲームよりも人間ドラマに主軸を置いたミステリである。初期の東野圭吾さんも謎解き重視だったけど最近は人間ドラマに熱量を割いているし、一般読者もそういう傾向を好んでいる。

本格ミステリは本格というだけあって人間ドラマより殺人のアリバイとかトリック解明で読者を引っぱっていく。作者はトリック解明のヒントとなるネタをすべて提示して読者に推理させようというわけだ。だから現場の状況や犯行時刻などやたらと詳細に検証されていく。さまざまな推理をならべてはそれを反証することで読者は現場の状況を把握することが出来るようになっている。さらに人物の系譜や現場の地図や状況などが図示されている親切設計。

とりあえずストーリーは以下。



1936年2月26日。二・二六事件が発生したその日、猟奇的で難解を極める事件が起きた。画家の梅沢平吉が自宅の密室状態のアトリエで殺された。そして現場に残された遺書には怪奇な内容が記されていた。それは若い6人の処女からそれぞれの星座に合わせて体の一部分を切り取り、それらを合成して完璧な肉体を持つ女性「アゾート」を作成するというものだった。その後、6人の姉妹が全員殺され、それぞれ頭、肩、胸、腰、大腿部、下足部が切り取られた状態で発見された…。はたしてアゾートは作成されたのか? また、アゾートはどこにあるのか? そして犯人は誰なのか? (ウィキペディアより抜粋)



途中、島田荘司氏が「とりあえずこれで事件解決に関するすべての材料を提示した。読者にもこの事件を解明してもらいたい」と挑戦状ともいえる文章が挿入される。「アゾート事件」は40年間あらゆるミステリマニアたちが謎解きに挑戦しては解明に至らなかった。数学界における「フェルマーの最終定理」みたいなもんだ(こちらは最近解明されたようですね)。作中ではミステリマニアたちの推理のいくつかが提示され、それぞれ反証されている。それによって僕たちも事件の不可解さに途方に暮れることになる。

僕はこの手の作品が苦手であるのは、読書中つねに頭を使わないといけないからだ。ちょっとした一文や何気ない会話に解明のヒントが潜んでいたりする。さすがに40年も解明できなかっただけあって殺人の手口は微に入り細に入り手が込んでいる。それはあたかも数学のパズルのようだ。バラバラ死体のひとつひとつがパズルのピースなのだ。名探偵・御手洗潔が事件のすべてを解明してくれるけど、さすがにこんなの分かんねーよ!!! 

本格ミステリの特徴のひとつに推理のロジカルさがある。そして殺人の手口も妙にメカニカルだ。正直言って、こんなことしなくてももっと簡単な方法があるだろう、と思っちゃう。アリバイや殺人の痕跡を消すためとはいえ犯人にとっても凄まじい労力だし、だいたいこんな手口思いつかねえよ。

たぶん原稿用紙1000枚くらいの分量はあると思うけど、そのほとんどが事件とその解明のための説明に費やされている。人間ドラマはほとんどない。御手洗潔のキャラクターも黒澤明の映画に出てくるような刑事がデフォルトだった時代からすれば驚くほどに斬新だったろう。しかし現代はサイコ野郎や殺人鬼本人が名探偵を担当する時代だ。そういう「新本格」を立ち上げるきっかけとなった作品であるところに本作の大きな意義を感じる。

これは個人的な好みの問題だけど、僕自身は苦手なジャンルかも。殺人事件はもっとシンプルで読者の盲点をついたような展開が好みだ。そしてやはり人間ドラマが秀逸じゃないとなかなか読み進められない。どうしても読みやすくてドラマも面白い東野圭吾に向いてしまう。ただ、この手の作品は読書でなく映像にしたら抜群に楽しめる気がする。映像だと現場の状況も一目瞭然だ。数十ページにわたる描写も映像なら1秒で伝えられる。その複雑な手口も然りだ。むしろ2時間くらいだったらつまらない人間ドラマを垂れ流すより、トリック解明に当てた方がスリリングかもしれない。

島田荘司の作品は映像化されてないようだ。御手洗潔シリーズは本人の意向もあって長い間映像はされてこなかったようだが、最近になって氏の考えが柔軟化したのか映画化の話もでてきているそうだ。御手洗をオダギリジョーという噂も出てたけどどうなったのかな?

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投稿: みさき | 2010年4月10日 (土) 10時46分

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 チープな感じのイラストがちょっと気になる「占星術殺人事件」(島田荘司:講談社)。文庫版の初版は1987年となっているが、発表されたのは、1981年で、文庫版の後ろの方にある解説によれば「伝説的な作品」と称されているらしい。実は、うちの子が買っていた(まだ読んで....... [続きを読む]

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