2009年映画ベスト10
2009年版管理人によるベスト10を発表します!!!
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ワースト5と同じくインパクトを重視します。だから点数や称号順位どおりにはなってません。思いがけず面白かったとか荒削りだけど衝撃が強かった作品のポイントが高いです。そんなわけでこちらも一般的なベストランキングとはかけ離れているかもしれません。ただどれも強くオススメできる作品ばかりです。もし未見であればこれを機会に鑑賞されてはいかがでしょう。僕が見てない作品にもまだまだ傑作がゴロゴロ転がってると思います。
●ベスト10位 愛のむきだし(レビューはこちら)

上映時間は4時間。しかしまるで長さを感じさせないハチャメチャぶりだ。とにかく全国ロードショーの無難なライナップ作品とはまるで違う凶悪なエネルギーに満ちあふれている。作家性が強い作品だがそんなことはおかまいなしに映画は観客を作品世界の中に引きずり込んでいく。まさに「むきだし」の映画だ。今年の映画鑑賞での収穫に満島ひかるという女優があった。見かけはそこら辺にいるアイドル然とした美少女だが、ひとたび役に入り込むとその可憐な容姿から想像も出来ないようなエネルギーを放ち出す。それはもはや本人のコントロールすら超えているようで無垢な狂気すら感じられる。彼女の存在がこの狂った映画をさらに狂わせているのだ。毒の触媒のような女優さんだ。邪悪で凶暴な映画だから見る人を選ぶと思う。しかし観客に絶大なインパクトと余韻を残す1本だ。
●ベスト9位 エスター(レビューはこちら)

一見地味だがなかなかの掘り出し物スリラー。なんといっても邪悪な娘エスターを演じた子役がすごい。片山さつき似の可愛らしい(?)女の子だが内には恐るべき邪悪性を秘めている。そんな彼女を養女として引き取った家族が崩壊寸前のとんでもない目にあうお話だ。彼女は家族にさまざまなイタズラをするわけだがどれも命に関わるようなものばかり。実際に多くの死人が出る。しかし子供だからと大人たちは優等生タイプの彼女の邪悪に気づかない。それに気づいたとしても彼女に消される運命だ。母親や家族に対する心理的攻撃も絶妙でその場でぶっ殺したくなるクソガキぶり。しかし終盤で明かされる彼女の正体はなかなかのサプライズになっておりそこから緊迫感が一気にヒートアップする展開が見事。最近、ホラーやスリラーが今ひとつ元気がないと思うけど、そんな中でまばゆいばかりに光っていた。脚本の面白さと演出の巧みさで楽しませてくれる正統派のスリラーだ。
●ベスト8位 THIS IS ENGLAND(レビューはこちら)

フォークランド紛争のサッチャー時代におけるイングランド。そこで生きる低所得者層の子供たちの生き様を描いた作品だ。長引く財政難や不況に苦しんでいた英国社会の鬱屈は子供たちにも波及していた。今の日本の若者たちも同じ状況にあえいでいる。しかし社会に反骨心を持ち間違った方向とはいえ行動に移す当時の英国少年たちの方がずっとマシに思える。今の日本の若者たちはゆとり教育の名のもとに完全に飼い殺しにされている。主人公のショーン少年は近所のちょっとイケてる不良お兄ちゃんお姉ちゃんたちとつるむことになる。そこに現れたムショ帰りの青年によってグループはバラバラになり破滅的な結末へと向かっていく。未熟さ故の青臭い暴走が連合赤軍の山岳ベースリンチ殺人にも似た悲劇を生み出してしまう。少年少女たちのキャラクターがそれぞれ魅力的に描かれていて彼らの織りなすエピソードも面白い。ヨーロッパとは思えない荒涼としたイングランドの街並みは鬱屈と絶望しか見あたらないが、彼らを見ているとどこか希望の温もりを感じさせる。優れた人間ドラマだ。
●ベスト7位 プライド(レビューはこちら)

少女漫画の荒唐無稽さをそのまんま実写化したような映画だが意外と面白い。ていうか演出や演技などの調味料のさじ加減をちょっとでも誤ったらこの作品は一気に駄作化しただろう。さじ加減がシビアだけに巧くいけば傑作の壁を突き抜けることができる。ストーリーを聞いてまさかこんなに楽しめるとは思わなかったのでDVDスルーしてしまったことが悔やまれる。今回も鍵となったのはベストランキングした「愛のむきだし」で異彩を放っていた満島ひかりの存在だ。情緒不安定で多面性人格でいつ爆発してもおかしくない危なっかしい女の子を演じているが原作者ですらコントロールの難しい役どころだ。しかし彼女はこれ以上はないと思えるほど完璧に演じ上げた。ステファニー演じる運命のライバルとの確執も絶妙で今後の彼女たちの行く末を見守りたくなる魅力がある。ストーリーは裏切りや嫉妬にまみれていてドロドロドロドロしているがそんな陰湿な空気にも関わらず将来の希望を感じさせる爽やかなラストが見事だ。今ひとつ地味な印象の作品だけど見逃すには惜しい1本です。
●ベスト6位 ポチの告白(レビューはこちら)

北海道警察の汚職を描いた作品。警察がわるいことをやっているというのはイメージとしてあるがまさかここまで邪悪とは思わなかった。その凶悪ぶりはヤクザを超えている。そしてこの映画はフィクションでありながら実際の道警の姿をモチーフにしているというのだ。実直だったおまわりさんが悪に染まって破滅していくまでの姿を195分にわたって濃密に描く。まあ、よくぞ映画化できたものだと思う迫真性。彼らはビーチでスイカを割るような感覚でレイプはするし人を殺す。保身のためだったら本当に何でもする。主人公の警官もしらぬまに汚職の片棒を担がされて気がつけばヤクザですら怖れる悪徳刑事だ。序盤で見せていた実直で家族思いの優しい旦那という姿は微塵もない。しかし組織の悪の権化だったような彼ですらただの道具に過ぎなかった。彼が実直な人間から悪に染まるまでのエピソードが一切描かれていない。本来描くべきエピソードを敢えて削ることで観客は絶望的なイマジネーションを抱え込むことになる。どうしてこんなことになっちゃったのか、なるべくしてなったのだと。人間の欲望の根深さを思い知ることになる。そして彼らが正義であるという現実に空恐ろしささえおぼえるのだ。主人公の凶悪なキャラクターに打ちのめされ圧倒される1本です。
●ベスト5位 オカルト(レビューはこちら)

いわゆるフェイクドキュメンタリー。監督はワーストにランキングされた「グロテスク」の白石晃士。最初は「なんじゃこりゃ?」で展開していくがだんだんと背筋が寒くなってくるような面白さがある。フェイクドキュメンタリーという見るからにうさん臭い演出だけど話が進むにつれてこれがなかなかに侮れない。なんといっても脚本とアイディアが優れている。序盤はヘタレなワーキングプア青年のさえないネットカフェ難民生活をカメラが追っていくが、終盤には思いも寄らないカタストロフが待ち受けているのだ。普段はヘタレのくせに酒が入ると強気になる典型的ワーキングプアの青年が実は世にも邪悪な運命を背負っているという事実をドキュメンタリースタッフは突き止める。そこから話は急展開してラストの破滅へと急降下していくのだがこの序盤と終盤とのギャップが面白い。タマネギの皮を一枚一枚むくような感じで見えてくる謎の出し方も実に巧い。意外と秀逸なミステリだと気づくのだ。オカルトとワーキングプアなどの切実な社会問題がここまで見事に融合したストーリーさばきにも感心する。まさに発想とアイディアの勝利。こういう映画こそ評価したい。
●ベスト4位 縞模様パジャマの少年(レビューはこちら)

近日DVD化されるらしい。もしこの記事をみてこの映画を見ようと思っているのならこれ以上読まないことをオススメしたい。本作は一切の予備知識や先入観を持たずに鑑賞した方が何十倍も楽しめるからだ。とりあえずこの映画のキモはラストの衝撃に集約される。もちろんそこまでのストーリー展開も秀逸だ。しかし冒頭から作り手は観客の不安を丹念に丹念に粘り強く積み上げていく。たしかにポスターのイメージ通り、少年二人の心温まるふれ合いに展開していく。なのになんだろう、この胸騒ぎは? そう、この映画は口ではうまく説明できない胸騒ぎや不安がずっと観客につきまとうのだ。何か良からぬことが起こりそうな予感。でもそれがどう結実するのか分からない。もどかしい。しかし物語はそんな観客の思いなどおかまいなしに展開していく。そして……。これ以上は見てのお楽しみ。とにかくこの映画、インパクトだけは随一だ。そこらのホラーやスリラー映画など比べものにならない。だけどこんな衝撃は実生活でなかなか経験できるものではない。映画だからこそ味わえる衝撃である。ビックリとかそういうのではなく心臓を握りつぶされるような悪性の衝撃である。見た瞬間にベストランキング入りを確信した作品だ。絶対的なオススメ映画です。
●ベスト3位 私の中のあなた(レビューはこちら)

今年も数多くのお涙頂戴映画を見た。映画なんて所詮は作り話だし金儲けのために作ってんだからそうそう泣けるものでもない。しかし本作は違った。泣けるを通り越して胸が張り裂けた。なんて残酷で優しくて切ない映画なのだろう。キャメロン・ディアス主演ということでいつものありがちなヒューマンドラマだろうと高を括って鑑賞に臨んだ。それで見事に返り討ちにあったわけだ。特に子供を持つお父さんお母さんたちにとってこの映画の衝撃は生涯忘れられないものになるだろう。子供の難病という重いテーマをここまで深く掘り下げた映画もそうそうないし、それでいてストーリーの巧さ面白さもきちんと実現している。そして観客は登場キャラクターの誰かに強い感情移入をすることになる。それは患者本人であったり妹であったり両親であったり。特に母親となるひとはどんな思いでこの映画を見守ることになるのだろうか。家族の本当にあり方をここまで濃密に描いた作品を他に知らない。子供の病気というのはある意味、映画としては卑怯なネタかもしれない。それだけに作り手には覚悟が求められる。陳腐なストーリーや解釈を持ち込んではならない。人類にとって最上級の悲劇はなんといっても子供の命が奪われることだから。この映画は観客に多くのテーマやメッセージを投げかけてくる。それらはある意味、観客にとって試練になるのかもしれない。だからこそ僕たちは自分の人生観、死生観、家族観を総動員してこの映画に向き合うことになるのだ。ただ感動したとか泣けたで終わるような浅はかな映画ではない。大切な人と一度は見ておくべき作品だ。
●ベスト2位 チェンジリング(レビューはこちら)

「事実は小説よりも奇なり」なんてことわざがあるけど実際はなかなかそうならない。現実にはゾンビもヴァンパイアも不死身の殺人鬼もでてこない。しかし本作は違った。子供の取り間違いというありがちなトラブルからまさかこんな世にもおぞましい事件に発展していくとは!!! まず驚かされるのがこれが実際に起こった事件だということ。自分の子供だと言い張る謎の少年と失踪してしまった本当の息子。この謎がいったいどう結実していくのかが観客の興味となる。しかしそれは想像を絶するものだった。もちろんそれは現実の範囲内だしだからこそ怖いのだ。監督はクリント・イーストウッド。彼は今年も「グラン・トリノ」などベストランキング級の優れた作品をコンスタントに提供してくれる。しかし本作はその中でも傑出していると思う。ジャンルはスリラーだが単なるそれで終わってない。その中には秀逸なミステリ、サスペンス、そして何よりヒューマンドラマがある。優れたアイディアやプロットだけでは秀作止まりだ。決して傑作や名作にはなれない。秀逸なドラマがあってこそだ。実際に起こった事件とはいえある程度の脚色はあるだろう。この映画は演技や演出の妙もさることながら脚色が傑出していたように思える。なんといっても絶望の中で母親に与えられる一筋の希望は物語の締めくくりとしては最高だ。希望といってもすべてはポジティブな憶測でしかない。しかし彼女にとって終盤である少年から聞かされる息子のエピソードは大いなる誇りである。しかしそこにも不気味な余韻がほどなくミックスされやはりこれが現実なのだと思い知らされる。この映画も「縞模様パジャマの少年」のようにどこまでも不安と胸騒ぎがつきまといそれでいて先の展開がまったく読めない。142分という長めの上映時間もまったくだれることがない。そして失踪した少年の母親を演じたアンジェリーナ・ジョリー。彼女の何かに取り憑かれたような鬼気迫る演技が映像に迫真を与えている。ここ十年の中でも屈指の傑作スリラーだ。
●ベスト1位 アンヴィル! 夢を諦めなかった男たち(レビューはこちら)

まさかこの映画が今年のナンバーワンになろうとは。アンヴィルなんてヘビメタバンドなんて知らねーし、そもそもヘビメタに興味を持ったことは人生の中で1秒もない。本作はそんなバンドの姿を追ったドキュメンタリー作品だ。僕にとって完全に興味の対象外だった。次の映画までの暇つぶしにみた映画にここまで心を奪われるとは思ってもみませんでしたね。今年のベストワンにはこの映画を本当に直感的、衝動的に選んだ。とにかくこの映画、泣けて笑えて元気がもらえる!! それも脚本家がひねくり回したフィクションでもなく、マイケル・ムーア監督作品のような演出たっぷりのドキュメンタリーでもない。彼らの生き様がそのまま加工されることなくドラマになっている。これもある意味「事実は小説よりも奇なり」だ。しかしチェンジリングのようにドラマティックなわけじゃない。なんともヘタレでダメダメなおっさん二人のヘビメタ魂に気がつけば涙を流している。こういう映画を好きな自分が好きになる、そんな映画です。まずなんといってもヘビメタに門外漢の僕がここまで楽しめて感動できるということがすごい。だいたい僕はバンドを夢見て駅前で毒にも薬にもならないインチキくさいラブソングを歌っている若者たちに対して否定的な考えの持ち主だ。そんなことよりまずは働け!ってマジで思っちゃう。才能なんかないやつは夢なんて持つなって他人に対して辛辣だ。でもこの映画を見てその考えが180度変わった。夢を諦めないで生き方って実はこんなにカッコイイ。この小汚いオッサンたちは実に救いようがないオバカだけど妙に輝いて見える。何をやっても報われない。しかし彼らは諦めない。気がつけば30年の月日がたっている。子供も生まれて家族が出来た。ふつうなら家族を養うために夢を諦めるし本来ならそうであるべきだ。しかし彼らはなおも追い求める。そしてラストの喝采は神様が頑張った彼らに与えてくれたプレゼントだ。さんざん笑わせてくれたのに彼らの笑顔に泣かされる。それは感動の涙なんかじゃない。大切なことを思い出させてくれた感激の涙なのだ。それは閉塞された現代社会だからこそ多くの人たちが忘れていることだ。しかし本当に大事なものって実にシンプルな形で身近にあったりする。アンヴィルの二人を見ているとそんな当たり前のことに気づかされる。こんなヘタレなヘビメタバンドのドキュメンタリーなのに一流のコメディアンが熱演するコメディなんかより笑えるし、そこら辺のスポ根ドラマなんかより熱いし、お涙頂戴映画なんかよりずっと泣ける。それでいてこれが一番重要なことだけど絶対的に面白い。この映画を見た人の多くはランキングに上位させるんじゃないかと僕は思ってる。そういう感覚を共有できる映画だと思う。というわけで今年のナンバーワンはこれ。インパクトを重視する当ブログのランキングにふさわしいベスト1位だ。

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コメント
TBありがとです。
投稿: mig | 2009年12月31日 (木) 09時36分
大変、参考になりました。ありがとうございました。
投稿: みさき | 2010年1月 7日 (木) 13時00分
あけましておめでとうございます。今年も、ブロガーのベスト10を作りました。当然の結果ですが、よろしくご覧下さいませ~。
投稿: aq99 | 2010年1月 7日 (木) 19時35分