カムイ外伝 【称号:凡作+】

江戸時代の日本。貧しい村に生まれ、忍者となった男カムイ。だが彼は、理不尽な殺戮、掟に縛られた世界に嫌気が差し、自由を求めて忍の世界を抜ける。同時にそれは裏切り者として追っ手と戦う運命を背負うことでもあった。(MovieWalkerより抜粋)
白土三平の人気コミックを松山ケンイチ主演で映画化。キャストもスタッフも妙に豪華なんだけど今ひとつ不完全燃焼かな。
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崔洋一監督(「血と骨」「犯人に告ぐ」など)、宮藤官九郎脚本、松山ケンイチ主演と代表的な忍者漫画が原作だけにスタッフもキャストも一流どころが集まっている。クドカンはちょっと違うような気がしたけど今回は意外とふつうのシナリオで彼らしさが出ていない分、あんまり巧いとも思えない。崔洋一監督は優れた映画作家だと思うが当たり外れがそこそこ大きい。今回はどちらかといえば「可もなし不可はちょっとだけ」といったところだ。
全国大規模公開の作品というのは得てして金はかかっているけど大味というパターンだけど本作もその範疇に入るだろう。僕は「カムイ」シリーズを読んだことがない。白土三平の原作は「カムイ伝」「カムイ外伝」に分かれているようで「カムイ伝」は貧困や差別をテーマに盛り込んだ群像劇なのに対して「外伝」は抜け忍として逃亡生活を送るカムイ自身にスポットが当てられているそうだ。おおむかしテレビでアニメをやっていて見ていたはずだけど内容までは記憶にない。子供だった僕にはちょっと難しかったイメージがある。だからこの作品をリアルタイムに楽しんでいた世代となると50代以上の方たちということになる。
カムイシリーズのテーマの一つに貧困がある。しかし小雪だの松山ケンイチだの伊藤英明だの美男美女がエステしたてのツルツルのお肌でちょっと埃をまぶしたくらいでは貧しさがさっぱり伝わってこない。むしろアクションに力がはいっていて本来原作に盛り込まれていた骨太な人間ドラマは今回は排除されているようだ。たとえば差別に対しても「オラにもオメーたちと同じ真っ赤な血が流れているだぁ~!」だけでそこから先の根深い問題が描かれない。
この漫画はアクションを主体とした既存の忍者ものにない社会的テーマを盛り込んだことが評価されているのに、映画の方は既存の忍者アクションに戻してしまっている。全国拡大ロードショーだけにゆとり世代の若者たちにも分かりやすいよう改変したのかな。しかしそれはとても残念だ。手塚治虫「ブラックジャック」が名作なのも子供たちの読み物とされた漫画でありながら医の倫理や生命の尊厳といった深遠なテーマを描いたからだろう。そういったテーマを排除してしまったことでふつうのB級アクションに成り下がってしまった。

豪華なスタッフのわりにCGが稚拙だ。これがなんとも映像をチープにしてしまっている。資金的というより関わったスタッフたちの技術力の問題のような。ジョーズの映像はギャグかと思った。プレステ3のCGの方がずっとずっとクオリティが高い。これではせっかくの役者たちの熱演も台無しだ。忍びらしい戦闘シーンはなかなか迫力があっただけに残念だ。
こうなったらいっそ中途半端な人間ドラマなんて排除して忍者戦闘アクションに特化してさまざまな追っ手と戦闘をくり広げたほうが面白かったかもしれない。特に大後寿々花演じるヒロイン(?)との恋愛っぽい演出はウザい。ウザいといえば山崎努さんのナレーションも同じ。声は渋くていいんだけどまるで説明の必要のないところでナレーションが入る。「スガルは生きていた」って見りゃわかるよって話だ。
というわけでつまらないということはないけど完成度はあまり高くない。クドカンの脚本も精彩を欠く。松山ケンイチはうまく演じられていたしアクションもよかった。(58点)

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コメント
「犯人に告ぐ」は瀧本智行監督作品ですが、崔洋一監督も関わられていたんでしょうか?
投稿: とおりすがり | 2009年10月10日 (土) 00時33分