ラッシュライフ 【称号:愚作】

己の美学を貫く孤高の泥棒・黒澤は、いつもと同じように他人の部屋の中を物色していたところ、突然帰って来た家の住人らしき男とはち合わせしてしまう。一方、道を見失って神に救いを求める青年・河原崎は、教団の幹部から車の運転を依頼されて向かったマンションで、あこがれの教祖の想像もしなかった姿を目撃する。(Yahoo!より抜粋)
人気作家・伊坂幸太郎の原作を東京芸術大学映像研究科の学生(?)たちが手がける。セミプロたちの作品にしてはなかなか豪華なキャスティングです。
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「フィッシュストーリー」「重力ピエロ」そして「ゴールデンスランバー」と原作映画化が目白押しの伊坂幸太郎。人気作家の中でもとりわけ映画化が目立つ。そして今回は短編連作集である本作である。それも東京芸術大学映像研究科の面々が手がけたとある。なんらかの映像経験はあるにしろ素人同然ですわね。文学部の学生が書いた小説が商品として本屋に並ぶようなもの。
とはいえ堺雅人、寺島しのぶ、柄本佑、板尾創路、佐藤江梨子など俳優陣はそこらのミニシアター系の商業作品なんかよりずっと豪華だ。見習いの料理人が一級の食材を使って料理してお客に出すような感じ。伊坂幸太郎の作品はいくつかのエピソードが微妙にリンクしている短編連作集だ。ストーリーは4つほどあってそれぞれ違うスタッフが手がけるというスタイルをとっている。
正直言って完成度については……。うーん。所詮は学生レベルかな。DVDにての鑑賞だけどまずは冒頭のエピソードから音声が悪い。台詞がうまく聞き取れない。映像もどことなく奥行きが感じられず面白味がない。脚本も然りだ。独りよがりにもなりきれず大衆に迎合するわけでもない中途半端さを感じた。
豪華スタッフや機材を使用できるというそこらのプロの監督より恵まれた環境を与えられていながらどれも凡庸の域を出てない気がする。素人なんだから下手くそでもプロを食ってしまうようなパワーというかエネルギーをみせてほしいところだが、どれも小手先の「ちょっと変わったっぽい」演出ばかりでうんざりする。4人も監督がいるのにどれも映像や演出が似たり寄ったりというのも同じ教科書を使っているからなのかと思ってしまう。
俳優の人たちはこれから頑張る人たちを温かく応援しくれている感じ。心の中では「しょーもねー」と思っているかもしれないけど演技はきちんと見せてくれるところあたり好感が持てる。しかし彼らの演技を持ってしてもダメダメぶりはフォローできない。貴重な原作を提供した伊坂幸太郎氏もガッカリしてるかも。むしろ素人ならオリジナルでやらせてあげるべきだと思うけど、それではお客がつかないか(笑) そもそも伊坂作品の面白さのエッセンスを映像で表現するのは難しいような気がする。素人がいきなり挑戦するにはハードルが高いんじゃないかな??
というわけで原作ファンにとってはちゃんと実力のあるプロに撮ってほしかったところだろう。優れたコンテンツがこういう形で消費されてしまうのもたしかにもったいない気がする。ある意味実験的な試みだったと思うけどこういう実績を残してしまうと今後は学生作品の商業化が難しくなりそうだ。(40点)

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