火天の城 【称号:駄作】

天正四年、腕利きの宮大工・岡部又右衛門は織田信長に安土城建築を命じられる。又右衛門は総棟梁を決める図面争いで信長の意に反した図面を提出して激怒させるが、彼の信念と誇りは信長の心を打ち、総棟梁を任せられることに。(MovieWalkerより抜粋)
松本清張賞を受賞して直木賞候補にもなった山本兼一「火天の城」を映画化。最近の日本映画の悪い部分が出た典型的な失敗作だと思うんですが……。
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織田信長の命によって築城された五層七階もの威容を誇る安土城。信長らしくそのスケールも度肝を抜く。今のように重機もトラックもなかった時代だけに3年にわたる築城には多くのロマンやドラマが流れていったに違いない。信長に築城の頭領を命じられた宮大工・岡部又右衛門と彼を取り巻く人たちの熱血築城ドラマだ!!、と思いきや……。
原作は山本兼一氏。この作品は松本清張受賞作、いわば文学新人賞から出ている(ちなみに今年は「アダマースの饗宴」(牧原一人)が受賞) つまりプロの手によるものではなくアマチュア同然の人間が書いたものだ。しかし実質的なデビュー作となった本作は直木賞候補にまでなる。
安土城は残っていればその威容を僕たちも楽しむことができたんだけど、残念ながら本能寺の変が起こって信長さんは自害し、それからわずか3年ほどで焼失している。当時の宣教師ルイス・フロイスの記録で城の様子が若干垣間見ることができるだけでその全容解明にはほど遠い。この映画でも信長は「オレの部屋はオシャレな吹き抜けにしてくれ」とオーダーしているがその吹き抜けがあったのかどうかすら議論が分かれているそうだ。吹き抜けはいいんだけどエアコンのききが悪いからなあ。
お客さんは思ったとおり年配の夫婦が多かった。いかにも歴史小説の好きそうなオジサン風の男性が多い。こういった方たちは作品に骨太なドラマを期待しているはずだ。陳腐なメロドラマはあほらしいお涙頂戴やラノベみたいな冒険活劇を見せたらがっかりすることくらい製作者サイドだってわかっているはずだ。なのに139分という長丁場でありながら築城に関する蘊蓄やエピソードはわずかで、その多くはとってつけたようなアホらしい人間ドラマに浪費されている。これではオジサンたちもがっかりだろう。
この映画には数々のお涙頂戴シーンが盛り込まれているが脚本があまりに雑なのでどれもこれも説得力がない。その最たる例は主人公・岡部又右衛門が敵領である木曽に大黒柱となる檜の大木を懇願に向かうエピソードだ。敵方である人間が何の利害もなしに又右衛門にご神木を譲るなど絶対絶対にあり得ない話だ。しかしその大木がなければ城が建たない。いったいどーいういきさつで又右衛門が大木をゲットできるかというのが中盤のちょっとしたミステリになっている。しかし緒形直人が無駄に熱演するそのシーンをみれば呆れかえる人がほとんどだろう。ホントに何かの冗談かと思った。しかし製作者スタッフはこんな陳腐でアホらしいエピソードで年配者で占める観客を感動させようと本気で思っているらしい。マジでバカにされているのかと思いましたよ。
その他にも又右衛門の娘のとってつけたような純愛ストーリーとか又右衛門と妻の夫婦愛とか築城にあまり関係ないドラマが延々とくり広げられていく。それでも前半から中盤当たりまでは控え目だったのに終盤に入ってからは監督や脚本家の頭がおかしくなったのかあり得ないようなファンタジードラマが暴走するのだ。死んだと思っていた人間が絶妙のタイミングで復活したり、真面目なはずの歴史ドラマでワイヤーアクションを駆使した戦闘シーンが炸裂したり……。ていうか信長の命を直接狙う謀反が身内から起こったら又右衛門一門も無事でいられるはずがないんですけど(笑)
というわけで139分の上映時間のうち間違いなく120分は回り道をして気がつけば安土城の完成である。さてその内部はどーなっているかとやっと初めてこの映画に興味を向けたときエンドロールが静かに流れるのだ。内覧会はなしかよ!!!!(38点)

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コメント
火天の城。安藤忠雄まで担ぎ出し日刊ゲンダイでPRしていたので、期待し観に行った。一般の映画ファンで演劇など好きだが全くの素人。そんなあたくしですが、ミス・キャスティング、オーバーな演技、ストーリー性欠如・脈絡なし、出来の悪いCGどれをとっても駄作以外の何ものでもない。岡部又右衛門役の西田敏行と織田信長役の椎名桔平は良かったが、あの大物女優のくさい演技から、見る気がしなくなってしまった。城造りが家族愛で語られてしまった。おまけに吉本のコメディアンまで登場し、また、あの安土城の支柱をたった50数人?の力で浮かせるなど茶番、何でもありで監督も大変だったと思うが、ん・・厳しい。文句言ってすみません。
投稿: 賢 | 2009年9月21日 (月) 19時22分