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愛を読むひと 【称号:凡作+】

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15歳のマイケルはある日、21歳も年上のハンナと出会い、恋に落ちる。ところがある日突然、彼女はマイケルの前から姿を消してしまう。数年後、法学専攻の大学生となった彼は法廷でハンナと思いもよらぬ再会を果たす。(MovieWalkerより抜粋)

ケイト・ウィンスレットが体当たりの演技でアカデミー主演女優賞を受賞。なんだかこの映画、無駄にエロいです(笑)
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前半は熟女と少年のエッチ三昧の日常を描く。どこぞのマニア向けAVだよと思うほどにエロい。主人公のマイケルは15歳(役者本人は18歳)という設定だ。この年齢の男の子といえば頭の中はエッチで過飽和状態だ。そんな彼に熟女化したタイタニックのヒロイン、ケイト・ウィンスレットがそろそろ怪しくなってきた肉体をさらけ出してくる。だけどやりたいざかり年齢の彼にとって多少の瑕疵はアイムOKだ。そんなわけで彼は学校が終わると彼女の家に入り浸りエッチ三昧の放課後を送ることになる。

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これがあとくされなく終われば壮年になったマイケルくんにとって「あんときは無茶してたよな~」と青春時代のイケてる思い出になっただろう。しかしこの映画でそうはさせてくれない。ハンナはエッチをする前に彼に朗読をせがむ。「読んでくれないとさせてあげないよ-」というわけだ。したいやりたいハメたいのマイケルくんは健気に彼女の言いつけに従う。その日から彼はさまざまな本を彼女に読んで聞かせてあげることになるのだ。そしてその朗読が後半からのドラマの伏線となっている。

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そのハンナもある日、突然彼の前から姿を消す。月日がたち法学部の大学生となったマイケルは見学に行った法廷で被告席に立つハンナを見て驚愕する。裁判傍聴を数回にわたって重ねるたびにやがてマイケルも知らなかった彼女の秘密があぶり出されていく。それはナチスのホロコーストがからむハンナにとっての黒歴史だった。

団地妻シリーズみたいなエロ話から後半はサスペンスな法廷劇に転調する。ネタバレになるのでここでは明確にはしないがハンナはある嫌疑にかけられているが、その彼女のが無実である事実をマイケルは知っている。彼がそれを証言すればおそらく彼女は無実(または軽減)される。しかし彼はそれができない。まずは自分のエッチ三昧だった恥ずかしい少年時代を暴露しなくちゃならないからだ。法律家の卵としての信念と個人的な羞恥心のはざまに彼は悩まされることになる。

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全体として抑えられた演出(エッチだけは無駄にエロいけど)だし役者たちもいい演技をみせてくれるのでそれなりに見応えがある。しかし見終わるといくつか疑問符もついてしまう。まずは主人公であるふたりの心理や行動原理が不明瞭だ。ひとつにハンナはどうして嫌疑を否定しなかったのか。もうひとつはマイケルはなぜ彼女の無実をはらしてやらなかったのか。

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マイケルの方は単純に恥ずかしかったからという解釈もできるが、ハンナの方は今ひとつわからない。最初は嫌疑を否定していたのに彼女のある秘密に追及がふれると彼女はあっけなく嫌疑を認めてしまう。ある秘密とはいえ知られたからといって別に彼女が困るというほどのことでもない。それどころか彼女の嫌疑を晴らす絶好のネタなのだ。それにも関わらず彼女は秘密を頑なに守ろうとした。そんな彼女の行動原理が今ひとつ分からない。贖罪の意識という解釈もできるがそれだったらなぜ最初から罪を受け入れなかったのかという疑問が残る。彼女は最初は嫌疑を否定しようとしていたのだ。

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ここら辺が曖昧なので終盤のマイケルの彼女に対するコンタクトが今ひとつ心に響いてこない。オスカーを受賞したケイトの熱演は凄まじい迫力があるが、演出と脚本がそれについていってない。どうにも釈然としない美談という印象だ。この作品で一番重要なのはハンナの行動原理だ。その肝心な部分がぼかされているのがこの作品に対するもどかしさの原因だと思う。いい作品になりそうだったのに実にもったいない。(59点)

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

映画のなかで、ハンナが「(文盲ということが)はずかしいから」、文盲ということを
言えなかったというのをマイケルがいってましたよ。

また、マイケルはハンナのその気持ちを知っていて
思い悩んでいたはずですが・・・

学がないということを恥じる人は
結構多いものです。
恥じる必要がないと思いますが、
「恥じる必要がない」とはっきり言えるのは
私が大卒だからかも知れません。


もう一度、映画をご覧になってください。

いい映画です。

投稿: とおりすがり | 2009年6月21日 (日) 04時49分

●とおりすがりさん

コメントありがとうございます。
僕の中にもその解釈はあったんですが、それでもやはり釈然としません。学がないことを恥じる気持ちは分かるのですが、果たしてそれだけで極刑を受け入れてしまうものなんでしょうか?
仮にそうだとすれば物語として実に安直な設定だと思います。ミステリにしてもホラーにしても動機や行動原理の弱いストーリーはどうしても共感が薄まってしまう。こういうヒューマンドラマなら尚更でした。

でも、いい映画でしたね。映像や役者さんたちの演技は素晴らしかったです。できたらヨーロッパの映画であってほしかったです。

投稿: 管理人 | 2009年6月21日 (日) 07時07分

いつも楽しんで読ませてもらっていますが、書き込みは初めてです。  はじめまして。
私も、自分がハンナだったら、恥をさらしても真実を言って罰を軽減してもらいますけれど、ヨーロッパ人は文盲に想像がつかないほどの劣等感を持っているみたいです。
フランス映画の『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 』を見ると、文盲の家政婦が、文盲がバレたため、支配人一家を皆殺しにしてますからね。 それくらい恥ずかしいらしいです…。

投稿: syco | 2009年6月22日 (月) 00時17分

●sycoさん

書き込みありがとうございます。

>>私も、自分がハンナだったら、恥をさらしても真実を言って罰を軽減してもらいますけれど、ヨーロッパ人は文盲に想像がつかないほどの劣等感を持っているみたいです。
フランス映画の『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 』を見ると、文盲の家政婦が、文盲がバレたため、支配人一家を皆殺しにしてますからね。 それくらい恥ずかしいらしいです…。

それは知りませんでした。自分の命や人生を犠牲にしてまで隠し通すなんて日本人の僕には理解できませんですね。国が違うと劣等感がこうも違うものなんですね。
そのフランス映画は見たことがありません。そんなことで一家を皆殺しなんてスゴイですね。

投稿: 管理人 | 2009年6月22日 (月) 07時51分

読めない。ということが、どれほどのことか。
考えてみてください。
学の「あるなし」のレベルではない、孤独です。
そして、今、私の住んでいる地域(日本)の、公的施設には、
いまだ「識字教室」の告知が定期的にあります。
でも、対象者は、読めない。

あなたは、浅い。
教育を受けられる幸せ。
そのことを、感じて欲しいです。
広くて複雑でどうしようもなくて愛しい世界に、
心を向けてみて。

投稿: dear kid | 2009年6月25日 (木) 22時34分

●dear kidさん

いやはや、なんとも耳の痛いご指摘です。たしかに貴殿のおっしゃられるとおり、ごく当たり前に享受している恩恵を「幸せ」と感じられない傲慢さが僕にあったと思います。浅はかでした。

ただ、ヒロインの識字に関してですが、これは教育というよりむしろ生まれつき識字出来ない病気という印象をもちました。きちんとした教育を受けているにも関わらず文字が読めないということがあるそうです。最近、ハリウッドの女優がそれをカミングアウトしてましたね。

投稿: 管理人 | 2009年6月26日 (金) 08時10分

違います。しょうがいではありません。
教育を受けられない不幸です。
なぜなら、ハンナは最終的に、字が読めましたから。
彼女は、みごとに、THEを探し当てました!

どうか。第二次世界大戦後の混沌とした世界を想像してみて。
体制に飲み込まれ、人殺しをした彼女の心を想像してみて。
いまだ、この豊かな日本で、読めない人のいる現実を、想像してみて。
その人達は、だれ?
ひとつには、「破戒」の人たちです。

「ムギと王様」という本の、
「ボタンインコ」という物語があります。
できたら、読んで欲しいな、と思います。

そして。世界を救うただひとつの希望は、
適切な教育だと、私は確信しています。


投稿: dear kid | 2009年6月27日 (土) 22時09分

●dear kidさん

幸福とは「有限のリソース」だと思います。教育を受けられる幸せというのは全世界すべてのひとに行き渡るものではありません。教育もまた有限だと思います。すべてのひとがそれなりの教育を受けて今貧しい人が豊かになればあなたも僕も今よりもずっと貧しくなります。
哀しいかな僕たちの豊かさというのは他の国や人種の貧しさを踏み台にして成り立っているものだと思います。

僕の乏しいイマジネーションではあなた言う「想像してみて」がどうにもできません。理想的な思想だった共産主義が現実では成立しなかったように、適正な教育がまた違った悲劇を生み出すかもしれません。人間とはどこまでも面白いドラマを演じてくれるものです。

投稿: 管理人 | 2009年6月28日 (日) 23時55分

はじめまして。
「愛を読むひと」に感動して、あれこれ探していたら、
ここにたどり着きました。

とても深い、感銘を受けた映画でした。
前半の、二人のひと夏のシーンは、とても重要でした。
それを、「エッチ三昧」「無駄にエロい」という表現を見て、
心から悲しくなりました。
男性と女性では、ここまで感覚が違うのかと、
今更ながら虚無感に陥りました。
わざとそういう表現をして、茶化しておられるのでしょうか。
原作や監督、脚本、俳優の卓越した表現によって、
猥褻な印象は全く受けなかったところが、とても評価できるところだと思っています。
そして、文盲が恥ずかしいという気持ち、私は理解します。
高いところから、ものごとを見るのは、私は好きではありません。


投稿: スロー | 2009年7月14日 (火) 10時20分

●スローさん

まことに申し訳ありませんがこれは感性の違いとしかいいようがありません。あなたが素晴らしいと思ったものをまるでそう思わない人間が確実に存在するということです。あなたにしろ僕にしろ自分と対極の位置にいる人間がいるのです。
「エッチ三昧」「無駄にエロい」は残念ながら茶化しているわけでなく僕の本音からの感想です。原作が高く評価されているのはその部分がうまく処理されているからでしょう。映画の方はそれがうまくいっているとは思えませんでした。
文盲についての理解は僕の人間的な未熟さがそうさせているのでしょう。正直いって命を賭けてまでという感覚は理解できませんでした。というか現代の日本でそれがきちんと理解できる人がどれほど存在するのかそちらの方に興味があります。

投稿: 管理人 | 2009年7月14日 (火) 13時22分

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