ジェイン・オースティンの読書会 【称号:佳作】
いかにも女性ウケしそうな女性ためのヒューマンドラマといった感じ。読書会とは前もって読む本を決めておいてそれぞれ読了後に集まって作品について討論するというものらしい。僕は朗読会と思い違いをしていた。こうしてみると読書会とはなかなか素晴らしい文化だと思う。日本でも流行らせてもいいんじゃないかな。ゆったりとしたソファで身を寄せ合いながら好きな作家の作品を討論するって素敵じゃありませんか! アッパーミドルのたしなみって感じです。本作はジェイン・オースティンの作品がテーマとなる。彼女の作品を通してそれぞれが自分の人生に重ねていくという話だ。
ジェイン・オースティンとは18世紀後半のイギリスの女流作家。主要作品は『分別と多感』『高慢と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』『ノーサンガー僧院』『説得』の6つの長編小説。どれも田舎が舞台に若い男女がくっつくだの別れるだの勝手にやってくれよって話が延々と続く。それぞれ映画化されたりドラマ化されているのでひとつくらい見たことがあるでしょう。最近では「高慢と偏見」がキーラ・ナイトレイ主演で映画化されてた(映画のタイトルは「プライドと偏見」) 女性の生活を結婚をからめてアイロニーに描いた作品が多い。
彼女の作品がこの読書会に参加するそれぞれの女性(プラス男性1人)に反映していく。彼女たちは離婚があったり不倫があったり同性愛だったり好きな人がいるけどうまく気持ちを伝えられないなど何かしらの問題を抱えている。そんな彼女たちがそれぞれの視点からジェインの作品をひとつひとつ論じあう。6つの作品を読書会で重ねていくうちに彼女たちも変わっていくのだ。衣装が変わりメイクが変わり考え方が変わる。
興味深いのは女性たちのファンションやメイクが徐々に変化して明らかにきれいになっていくところ。特に夫の浮気に悩んでいた女性は冒頭と終盤では同じ女性と思えないほど美化している。文学を討論するということはその人の人生観、恋愛観、死生観を討論することだ。それによって思想や信念がバージョンアップされて内面が磨かれることで自然にそれが外見に反映される。とっても素晴らしい文化だと思った。5人女性と1人の男性は個人差はあるにしてもそれぞれ問題や悩みを抱えている。しかしジェインの作品を通してそれぞれが何かしらのハッピーエンドに結びついていく。完全に女性を意識した映画だが男性の僕でも共感できた。
しかし女性たちの会話は端から見ていて楽しい。彼女たちは恋愛にも人生にも辛辣だ。そんな彼女たちの意見に囲まれて黒一点のグリッグはタジタジなるシーンは面白い。ジェインの作品は現代女性の結婚観にも通ずるものがあるのだろう。当時の結婚制度に与しない主人公の辛辣さが現代女性たちにうけているのかもしれない。今も昔も若い女性たちは結婚のシステムに批判的なのだ。
この映画を楽しむにはジェイン・オースティンに対するある程度の知識が必要だ。この映画のタイトルを聞いて「ああ、ジェイン・オースティンという人が読書会を開催するのね、暇な人ね~」なんてオトボケさんは問題外。本は読まなくともせめて「プライドと偏見」くらいは目を通していないとさほど楽しめないかもしれない。かくいう僕もジェインの作品についてはあまり明るくないのでこの映画の本質部分を味わうことができなかった。
ヒューマンドラマも良かったが、それぞれの部屋のインテリアも楽しめる。ゆったりとソファにテーブル、書架など手狭な日本ではなかなか実現しそうにない快適な読書空間がうらやましい。ドラマは辛辣だけどオシャレでハートウォーミングに幕を閉じる素敵な1本です。(60点)

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