2008年映画ベスト10
2008年版管理人によるベスト10を発表します!!!
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今年は前年に比べて映画鑑賞数がかなり落ちているのでワースト部門は5本に絞りましたが、ベストは粒ぞろいで5本には絞りきれなかったので前年と同じく10本にしました。こちらもワーストと同じく「インパクト」が重視されます。全然期待していなかったのに予想外に面白かったとか面白い映画ではないけど打ちのめされたなどインパクトや衝撃の強い作品をランキングしてみました。だから必ずしも点数や評価称号順に並んでいるわけではありません。それではベスト10をお約束で10位から!! ちなみに10位は絞りきることができずに2本ランクインです。
●ベスト10位 バグズ・ワールド (レビューはこちら)

アリたちのサバイバル戦争を描いたドキュメンタリー。1匹1匹は取るに足らない生き物だけど集団になったらこれほどすごいヤツらもいない。まるで中華人民共和国。なにがすごいってアリたちの微塵もためらわない自己犠牲ぶり!! 集団が川を渡るだけのことでも下級アリたちは迷わず川に飛び込んで流されて死んでいく。彼らの犠牲を見て次のアリが別ルートを探るため川に飛び込むのだ。何をするにも人海戦術。死屍累々の山が築かれようと女王アリがどんどん生んでくれるから無問題さ。兵隊さんたちはまさに消耗品。そんな彼らの勇ましい犠牲でかの帝国は成り立っているのだ。まるで蟻塚が彼らを細胞とした大きな生き物みたい。ドキュメンタリーでありながらちゃんとストーリーがあって主役不在の超超超群像劇でありながら彼らの凄まじい自虐戦争ぶりに思わず引きこまれてしまう。こういう戦い方ができれば日本もアメリカに勝てますよ(笑) ネイチャー・ドキュメンタリーはフランスにはかないません。
●ベスト10位 劇場版MAJOR 友情の一球(ウィニングショット) (レビューはこちら)

こちらも「バグズ・ワールド」と同点10位。あまりに惨たらしい完成度にWiiゲーム版の方が話題になってしまったがアニメ映画の方は大人の鑑賞に充分堪えうる高い完成度を誇っている。親子で楽しむアニメなら今年ナンバー1だ。あまり子供向けアニメを見ない僕でもこのクオリティの作品なら劇場で入場料を払っても納得できる。むしろこの映画は子供向けアニメではなく優れた子役をたてて実写版でやっても充分に楽しめそうだ。それだけ原作が優れたコンテンツだといえる。ちなみにWiiゲーム版のひどさは上述のレビューに書いておいたけど顎が外れそうに笑える。動画サイトにもアップされているようなのでぜひ見ていただきたい。エクソシスト投手のシュールさといったら……(笑)
●ベスト9位 ひゃくはち (レビューはこちら)

最近の野球映画はハズレがない。本作も実に実に優れた野球映画だ。野球映画といえば実際に試合を戦う選手たちの姿が描かれるがこの映画は違う。甲子園のベンチを温める補欠枠を狙う高校球児の物語だ。彼らはラストのラストまで試合とはまったく無縁。とにかくベンチに入れればそれで満足なのだ。いわば高校球児界の底辺で足掻く少年たちのドラマだ。そしてこれが実に感動的。熱闘に沸く甲子園野球の裏側では学校の数だけこんなドラマが展開されている。しかし観客席はそんな彼らの姿を誰も知らない。ニュースにもならない。なのに彼らのドラマは実にスリリングで実にサスペンスで実にお涙頂戴なのだ。仕事や学校がうまくいかなくてダウナー気味の人もこの映画を見れば元気をもらえる。これぞリアルな青春ドラマだ!!
●ベスト8位 譜めくりの女 (レビューはこちら)

フランスの傑作心理サスペンス。近年は邦画が面白いと言われるが本当に面白いのはヨーロッパ映画だ。格調や風格だけでなくストーリー単体でも楽しませてくれる作品が多い。本作もまさにそんな1本。女流ピアニストの心ない行動が原因でピアノの夢を諦めてしまった少女が成人してから復讐を画策するお話。その彼女の復讐プランに対する執着生がすごい。まさに何年越しで綿密に練り込まれたプランなのだ。この映画が優れているのはその女性の真意がまるで見えないところだ。復讐を虎視眈々と狙っているんだけどどこか女流ピアニストに対して感情移入や共感をのぞかせる。果たして彼女は復讐するのか、それとも神経症に悩む女流ピアニストを救うのか予想がつかないまま展開していく。僕たちは常に不安定な気持ちのまま物語を見届けることになる。それだけにあっけないラストが衝撃となるのだ。地味で派手さはないが優れた演技と演出で観客を引きこむ一級のサスペンスだ。精神異常者がつぎつぎと他人を血祭りに上げるサイコものなんかより一滴の血も出ないこちらの方がずっと怖い。
●ベスト7位 白い馬・赤い風船 (レビューはこちら)

50年代のフランス映画のリバイバル。いくらデジタルリマスターとはいえリバイバルをベストに入れるのはどうかと思ったがやはり衝撃が大きい。それぞれ40分ほどの短編映画。台詞もほとんどなく少年と馬、または少年と風船のふれ合いが淡々と描かれていく。それだけならふつうのフランス映画なんだけど、この作品が幻の名作と呼ばれるゆえんとなるラストが衝撃だ。ハッピーなのかバッドなのかどちらともとれるラストシーン。もしこれをバッドと受け取るならこれほどまでに救いようのない哀しいエンディングもないだろう。しかし人によってはハッピーと受け取るかもしれない。つまり観客のとらえ方や解釈によって作品の印象が180度反転するというわけだ。まさに絶妙のアンビバレンス。神と悪魔が同居したような映画だ。しばらく空を見上げて赤い風船をさがしてしまうような強烈な余韻を残してくれたある意味トラウマ映画である。
●ベスト6位 ぜんぶ、フィデルのせい (レビューはこちら)

おっと3作続けてのフランス映画。今年はフランス映画の当たり年?? とにかく仏頂面のアンナちゃんがかわいい。比較的裕福だったパパとママがいきなり共産主義に走ってしまいおうちが困窮してしまうお話だ。アンナちゃんはまだ9歳。ミッキー・マウスのお人形は帝国主義の象徴だと取り上げられるし、おうちが貧乏になってバカンスにもいけない。「キョーサン主義のどこが素晴らしいのよ!!」とキレてしまうアンナちゃんが大人たちにいろんな質問をぶつける。大人たちは言葉に詰まる。彼女の無垢な質問そのものが共産主義の矛盾だからだ。それにしてもフランスの子役の演技レベルの高さには驚かされる。個人主義が徹底されたフランスにおいて決して大人の思想には屈しないアンナちゃんの生き方には頼もしさすらおぼえる。60年代当時の欧州の世相を絶妙にもじったシナリオも秀逸。安直な笑いに媚びない演出にもフランスの映画に対する志の高さを窺える。
●ベスト5位 百万円と苦虫女 (レビューはこちら)

いかにも日本のミニシアター系作品らしい控え目さがいい。面白いというよりも「好きな」作品といえる。なんといっても主演の蒼井優さんが素晴らしい。彼女の控え目な存在感がこの映画をほぼ無敵にしている。ストーリーはたいしたことないし演出も控え目だ。笑いもサスペンスもすべてにおいて控え目なんだけどそれが実に絶妙で心地よいものになっているあたりがスゴイ。こういうのは作り手のセンスの問題で誰もができるわけじゃないし、やったところでたいていは失敗する。役者たちの間の取り方はおそろしいほどにはまっていてさじ加減ひとつ間違えば一気に瓦解しそうな危険性を感じさせるのにラストのラストまで安定している。それだけにあっけらかんとしたオチは控え目な演出にも関わらず強烈なインパクトを残すのだ。それでいて全編にわたって実に毒が効いている。主人公のキャラクターにははまってしまいそうだ。こういう作品に出会えるからミニシアター通いはやめられないのよ。
●ベスト4位 ハッピーフライト (レビューはこちら)

この映画、単純に面白い。飛行機を飛ばすのにこれほど多くの人が関わっていたという考えれば当たり前のことに感心する。その彼らのドラマを徹底的にリアルにしかしコミカルに描いたのが本作だ。形式は主人公不在の群衆劇。ひとつひとつのエピソードが細胞となり全体のストーリーを形成している。まずはなんといっても個々のエピソードが抜群に面白い。しかしそれだけでは面白いお話のぶつ切りに過ぎない。この映画は複数の登場人物や彼らが織りなすエピソードを巧みに交通整理しながら航空業界の裏舞台を観客に俯瞰させてくれる。飛行機の安全がスタッフ一人一人の情熱で支えられているという普遍のテーマも実に気持ちがいい。ただコメディに特化するのではなくその中で仕事のシビアさやスタッフの苦悩を垣間見せながら物語に奥行きを与えていく演出も見事だ。老若男女問わず、誰もが間違いなくそれも高いレベルで楽しめる映画。良くを言えば1ヶ月に1本くらいのペースでこういう良質ドラマをミニシアターでなくロードショーの映画館で楽しみたいものだ。客層に媚びながら、そして商業性を意識しながらでも面白いドラマは成立するお手本。テレビ局主導のテレビドラマの延長みたいな映画を平気でつくる人間たちには見習ってもらいたい。
●ベスト3位 闇の子供たち (レビューはこちら)

もう原作の時点で衝撃の塊みたいな映画。原作を読了したときは映画化は絶対にあり得ないと思っていた。テーマとしてはタブーに近い。なんたって幼女売買春、そして臓器売買なのだ。これを映画化するなんて本当に勇気のいたことだと思う。大人たちは子供のこととなると過敏に反応する。今話題になっているモンスターペアレンツだって子供過敏症の表れだ。ましてや売春に臓器売買。よほどの信念と覚悟が必要だ。それだけにスタッフたちは見る者に心痛を伴う描写を現実から目を背けず真摯に描いている。決して興味本位で見せるような映像ではない。この世界のどこかでは無垢な子供たちが心ない大人たちの欲望に汚され傷ついているという救いようのない現実を突きつける。それだけではない。臓器売買に至っては善良な日本人が関わっている。自分の子供の命を救うために他人の子供の命を犠牲にするという葛藤が厳然と実在するのだ。まさにこれは究極の人間ドラマといえる。気がつけば観客はその子供たちの親心にシンクロし、次の瞬間には殺される子供たちの親心にシンクロする。そして僕たちは自分たちの幸せは他人の不幸から成り立っているという残酷な現実を実感するのだ。この映画は問いかける。「じゃあ、あんたは他人の幸せのために自分の幸せを放棄できますか?」 僕は答えられない。次々とくり出される問いかけに僕たちは圧倒される。打ちのめされる。サザンのエンディングソングが流れてきたころには観客たちはぐったりと椅子に身を沈めていた。テーマがテーマだけに簡単に観客を打ちのめすことのできる卑怯な映画だ。しかしそれを実際に映画にするスタッフやキャストたちの勇気と情熱を評価したい。
●ベスト2位 この自由な世界で (レビューはこちら)

格差社会を描いた作品が小説でも映画でも多かった気がするがその中でも傑出したのがケン・ローチ監督のイギリス映画だ。「蟹工船」をはじめとするプロレタリア作品は搾取される労働者の視点で描かれる。しかし本作は資本家に搾取される人生を送っていた主人公が搾取する側に変わっていく姿を描く。舞台はロンドン。今は昨今の金融パニックで大変なことになっているがほんの半年前まではポンドは210円を超えていた。地価は高騰して物価は世界一高い。そんなロンドンにはヨーロッパ中から移民たちが集まってくる。しかしロンドンはそんな彼らには辛辣だ。彼らは低賃金での労働を余儀なくされる。母国ではエリートでもロンドンでは最底辺の労働者なのだ。ヒロインは搾取される理不尽さに納得がいかず、派遣紹介所を起業して独立する。搾取される者の気持ちが分かる彼女は彼らの立場に立ったビジネスを目指すがそれでは利益に結びつかない。お人好しの経営は悪化していく一方で倒産も視野に入る。そしてついには彼女は豹変する。かつて自分たちがやられていた以上の搾取に走る。勝ち組に這い上がるため魂を悪魔に売ってしまうのだ。彼女の経営は資金繰りもギリギリだし非合法だからいつ警察に捕まるか分からない。常に綱渡りなのだ。その日暮らしで何とか生きている派遣の人たちを騙してなだめすかし給料をピンハネする。皮肉なことに悪魔になればなるほどお金持ちになっていくのだ。こんな人をないがしろにする社会が果たして正しいのか。彼女はいう。「自由の国だから何をしてもいいのだ」と。たしかにそうなのかもしれない。この映画を見ると「自由」という聞こえがいい言葉がいかに残酷であるかを実感する。一握りの勝ち組になるためには負け組たちをさらにどん底へ突き落とさなければならない。それをはっきりと肯定した小泉首相、彼を熱狂的に支持した日本国民。この映画を見てもなお、小泉を支持できるか今一度問いたくなる。この映画、そこらへんのサスペンス映画なんて問題にならないほどスリリングで物語も抜群に面白い。それでいて深いテーマに呻らされる。まさに良質の社会派ドラマのお手本だ。地味で内容の読めないタイトルだけに多くの人たちからスルーされそうだが見逃すには実に惜しい1本だ。今年のベスト上位にはふさわしいドラマである。
●ベスト1位 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 (レビューはこちら)

今年のベストにこの作品をもってくる人も多いかと思う。僕も思いっきり打ちのめされた1本だ。僕も連合赤軍については簡単な知識しか持ち合わせていなかったがこの映画を見て衝撃を覚えた。なぜなら連合赤軍といえばあさま山荘に立てこもった人たちというイメージが強い。しかしこの映画を見る限り、あさま山荘立てこもり事件なんてオマケみたいなものだ。実際にテレビ局や新聞記者が現地に飛んだり、視聴率が歴代最高をあげたことでマスコミの人たちにとってはあさま山荘の印象が絶大なのだろう。しかし彼らの狂気の神髄は山荘へたどり着く直前にあった。山岳ベースリンチ殺人事件だ。これぞsawシリーズを遙かに凌ぐ生き残りゲーム。いつ何時、どんな理由で殺されるか分からない。たとえば化粧をしていたとか銭湯に立ち寄ったとかエッチをしたとかそんな些細な行為がリンチの理由となる。ひとたびリンチが確定すれば命はない。死ぬまで痛めつけられるだけだ。リンチを拒否すればその人が次のターゲットとなる。交渉も反省もきかない。外は雪山。隔絶されたキャンプで逃げ場はない。他人の顔色を窺いながら言質を取られないよう息を潜めて生活しなければならない。この緊迫感は傑作スリラー映画たちを上回る。なぜならここで起きたことはすべて実話だから。登場人物たちの名前も実名。中でも恐ろしいのは後に死刑囚となる永田洋子さん。彼女に目をつけられたら即アウト。幹部を批判する独り言も聞き逃さない。そんな理不尽なサバイバルゲームが延々とくり広げられる。死者は10人を超えそれでもなおも続けられる。全員、このリンチの意義に疑問を持ちながらもそれを口にできない。それをすれば自分が次のターゲットになるからだ。なぜこんな愚かで恐ろしいことが起きたのか。はっきりとした理由は提示されないが、この映画を見てればなんとなく分かる。これぞイジメの構造なのだ。山岳ベースが学校の教室になり職場になり家庭になる。彼らのやったことは僕たちが日常で見ていることと一緒じゃないかと思い知らされるわけだ。人が10人も集まればその中に永田洋子みたいな人間が必ず一人はいる。その狂気が最大限に発動されれば日常社会でも彼らの悲劇が起こりうるわけだ。というわけで今年のベスト1はこれ。上映時間もかなり長いが思い切り引きこまれるので苦痛ではない。そして見終わると彼らの思想や行動についていろいろと検証したくなるだろう。ここ数年の中でも傑出した超1級サスペンススリラーだと思う。
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コメント
あけましておめでとうございます♪
TBありがとうございました☆
昨年はお世話になりました。
1位に挙げてらっしゃる『実録連合赤軍』は
とっても見たかったのに、見れず残念です(涙)
DVDにもならないという話なので、
やっぱり見とけばよかった~と後悔しきりですぅ・・
今年も素敵な映画に出会えると良いですね。
どうぞ宜しくお願いします♪
投稿: non | 2009年1月 2日 (金) 23時21分
あけましておめでとうございます。
TBありがとうございました!
なんと、「実録・連合赤軍」が1位なんですね!
私も地元ミニシアターで監督舞台挨拶の回を鑑賞しました。
個人的にとても興味のある題材なのです。
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: ミチ | 2009年1月 3日 (土) 15時48分
明けましておめでとうございます。
単館系の作品が多いので、kossy的にはかなり焦ってしまいます。
こんな映画もあったのか~なんて・・・
シネコン以外の作品もなるべく鑑賞したいところですけど、今年も少なくなりそうで心配・・・
そんなkossyですが、今年もよろしくお願いいたします!
投稿: kossy | 2009年1月 3日 (土) 19時34分
はじめまして。 TBありがとうございました。
『ぜんぶ、フィデルのせい』がランクインしていたので、思わず書き込みさせていただきます♪ とっても嬉しいです。
この映画をランキングに挙げている方がほとんどなくて・・・。 とても素敵な映画ですのでついつい嬉しく。
またよろしければお越しください。ありがとうございます。
投稿: rose_chocolat | 2009年1月 3日 (土) 22時36分
恒例のお楽しみ、ブロガーのベスト10ができました。結果はバレバレなんですけど、細かいとこがなかなか面白くなりましたよ~。
投稿: aq99 | 2009年1月 8日 (木) 22時22分