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アクロス・ザ・ユニバース 【称号:凡作+】

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1960年代のNY。会ったことのない父親を探すために渡米したイギリス人青年ジュードは、そこで知り合った友人の妹ルーシーに恋をする。しかしそんな2人の愛は、ベトナム戦争などで激化する時代の波に翻ろうされていく。(MovieWalkerより抜粋)

ビートルズファン必見のミュージカル。冒頭でかかる『ヘルター・スケルター』はあのキチガイカルト教団マンソン・ファミリーに多大な影響を与えたことでも有名です。

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言わずと知れたイエス・キリストよりも人気のある英国リヴァプール出身のロックバンドグループ。西側諸国プロパガンダの象徴ともいえるバンドだ。彼らの曲を聴いてチャールズ・マンソンは殺戮に走り、マンソンに感化されたマリリン・マンソンの熱狂的信者がコロンバイン高校銃乱射事件を起こして10人以上の命を奪った。麻薬も暴力もレイプもぜーんぶビートルズの歌が原因なのだ!!……ってうちの死んだおじいちゃんが言ってました。

この映画の舞台は60年代のニューヨーク。まさに激動と混沌の時代。ベトナム戦争は激化してさまざまな人種やイデオロギーがぶつかり合う。日本でも赤軍とか大暴れしてたけどアメリカの若者たちも社会の矛盾と戦っている「つもり」でいたのだ。そんな彼らの心をとらえたのがマンソンファミリー……じゃなくてビートルズだったのです。

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ビートルズをリアルタイムに楽しんだビートルズ世代といえば40代以上の方たちでしょう。全共闘世代ともいえるかな。ファミコン世代の僕としてはベトナム戦争も知らないしビートルズの全盛期もリアルタイムに知らない。当時の僕にとって偉大なミュージシャンはビートルズよりもはるかにピンクレディや沢田研二だったのだ。正直言ってビートルズって「ラブとかピースとかうざいオッサン」くらいのイメージしかなかった。白人のくせにオノ・ヨーコみたいな黄色い女といちゃつくポールを見てたちの悪いジョークかと思ってたりした。

しかし60年代の国際社会を語るときベトナムとビートルズは外せない。60年代を舞台にした映画を見てもBGMに彼らの音楽が使われたりする。セットに金をつぎ込まなくてもそれだけで観客に時代設定が伝わる説得力があった。この作品には30曲以上のビートルズが流れるがCMなんかで使われることも多いので「この曲ってビートルズだったんだ」と気づくことも。何十年も歌い継がれる曲だけあってそのメロディは世代を超える。

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日本もそうだけど60年代は世界中が反骨精神であふれていたようだ。既存の価値観に反発して自分たちのアイデンティティを模索してた時代である。中国ではそれをちょっとやりすぎちゃって文化大革命なんて黒歴史になちゃったけどね。アメリカでもベトナムの反戦運動が激化して若者たちが警察部隊との衝突を繰り返した。

本作はそんな若者たちの姿をビートルズソングに絡めながら描く。といっても最初からビートルズありきの映画だ。物語に合せて選曲するのではなく、曲に合せて物語をこじつけていく。一番分かりやすいのが主人公の名前。ジュードと聞いてピンとこないヤツはこの映画を見る資格はナッシングだ。この映画の物語は彼らの曲の歌詞そのものだったりする。

ジャンルはミュージカルに分類されるんだろうけど、ミュージカルというよりその作家性の発露ともいえるアートな映像はPVに近い。特に『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』のシーンは苺を爆弾や飛び散る肉片に見立てた印象に残る映像だ。環境映像としても充分に成立する。

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ただこの手の作品全般にいえることだが最低限ビートルズになんらかの思い入れや興味がないと鑑賞は苦痛になるかも知れない。上映時間は131分と長尺でその多くは曲とPVで塗りつぶされている。僕も8割は知らない曲だったし心に響いてこない曲も少なくなかった。むしろここはMr.childrenの曲でも流してくれと思ったほどだ。僕自身、世代の違いからかさほどビートルズに思い入れがないのである。だからどうしても知っている曲以外のPV映像は退屈なので流してしまう。

ただ60年代という時代は興味深い。当時の若者たちが何を考えてどう行動していたのか現代の若者たちと対比させてみると面白い。その当時の若者たちが現代社会の主流となって今や彼ら自身が社会の矛盾となっているという皮肉な現実も無視できない。ビートルズが一世風靡した当時とモーニング娘。の現代。比べようがない……。まあ、ファンでもない人がこの映画にケチをつけても意味がないでしょう(58点)

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