20世紀少年 【称号:佳作】

“ともだち”と呼ばれる教祖が率いる不気味な教団が現れ、同時に怪事件がひん発する。コンビニを営む中年男性ケンヂは、一連の事件の内容が、子供時代に自分が書いた空想の予言書と酷似していることに気付く。(MovieWalkerより抜粋)
浦沢直樹原作のコミックを実写映画化。22巻(プラス『21世紀少年』上下巻)に及ぶ壮大なストーリーを3部作にわけての序章です。

漫画ってあまり読むことはない僕だけど浦沢作品は大好き。『MONSTER』は原作も読破したし全75話におよぶアニメもコンプリートした。どこぞの魚の子と違って大人の鑑賞にも堪えうる作品だ(って見てないんだけど魚の子……) この人の作品はストーリーもさることながら魅力的なキャラクターづくりにある。キャラひとりひとりの過去を挿入しながらほかのキャラとリンクさせたりしてその魅力をあぶり出す。無関係だと思っていたキャラ同士が意外なところでつながっていたという演出もうまい。
本作『20世紀少年』もまさに浦沢マジックの集大成だ。数多くの登場人物が出てくるが決して記号に終わってない。ちょっとした脇役ですら体温を感じさせる。それぞれの魅力的なエピソードが細胞となって壮大な物語を構成しているのだ。ストーリーの面白さもあるがそれ以上によくぞこんな発想が出てくるものだと原作者の創造力には驚かされる。こんな発想を物語として成立させてしまう。それでいてちゃんと面白いのだからやっぱりすごい。

この作品を実写映画化と聞いて正直驚いた。あまり荒唐無稽すぎる。この物語は漫画だからこそ成立するのであってとても実写になじめるとは思えない。それに魅力的なキャラが満載だけにビジュアル的なイメージも重要だ。主人公のケンジは絶対に爆笑問題の太田だと思っていたら唐沢寿昭だった……。
この作品を見る限り、制作スタッフは下手なアレンジを加えるより漫画の忠実な再現をコンセプトにおいたようだ。それぞれなるべく似た役者を選びさらにメイクで酷似させていく。それにしてもヤン坊、マー坊は似すぎ。こいつらはこれを演じるために生まれてきたようなものだ。それだけでなく漫画の印象的な一コマも実写で再現しているのだ。これは漫画の映画化には重要なことで『デスノート』の成功も人気キャラLをあそこまで忠実に再現できたことも大きい。壮大なストーリーも不要なエピソードはカットして効率よくまとめてあると思う。
原作ファンの僕としても今回は十分に納得のいく完成度だと思う。多少のもたつきや不器用さを感じさせないでもないが原作のイメージを損なわず、特にどう再現するのだろうと注目していた原子力ロボットのカタストロフみたいな荒唐無稽さなど見られるものになっていた。また「ともだち」の正体などヒントを小出しにして興味を引きつけていく展開も悪くない。少なくともこの序章を見れば次回が気になるようにはなっている。
あくまでリアルな実写だがどことなく漫画的に描いているので漫画特有の荒唐無稽もさほど違和感がなかった。だいたいこういうのは失敗すると見るも無惨なものに仕上がってしまう。例を挙げるまでもなくそういう作品はいくらでもおもいつく。

しかしこの映画、序章と第2部で稼いでしまわないとちょっと厳しいかもしんない。というのも原作は中盤過ぎまで続きが気になっていられなくほど面白いのだが、終盤は広げすぎた大風呂敷をたたむ作業にいっぱいいっぱいでグダグダになってしまうのだ。重要な関係者が全員ケンジになんらかのつながりがあるという偶然もひどすぎる。あれほど惹かれていた「ともだち」の正体もそのころにはどーでもよくなってしまうのだ。正直、第3部がどうなってしまうのかちょっと心配。
というわけで原作を読んだことがある人ならほどほど安心して見られると思う。しかし原作を知らない人が見たら「なんじゃ、このムチャクチャなお話わ!」って思うかもしれない。登場人物も多く過去と現代のパートがあって誰が誰なのか混乱するだろう。ただストーリー自体は練り込まれているし随所に仕掛けられた伏線も絶妙だ。テロの対象都市の順番と昭和ノスタルジーのつながりもあまりにも荒唐無稽なのだがそれが妙に不気味だったりする。漫画だと割り切って鑑賞すれば楽しめると思いますよ。エンドロール終了後に次回の予告編がちょこっとだけ流されます。(64点)

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関連記事:【アニメ】『MONSTER』
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受信: 2008年8月31日 (日) 17時21分
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王様おにぎりを食べてみたかったのに・・・ [続きを読む]
受信: 2008年9月 1日 (月) 19時35分
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「20世紀少年第1章」は浦沢直樹によるベストセラーコミックを実写化した作品で1969年の小学生時代に秘密基地で考えたよげんの書に人類滅亡計画などの空想を記したが、大人になった1997年にそれが現実となり2000年12月31日人類は滅亡するという予言に当時小...... [続きを読む]
受信: 2008年9月 2日 (火) 00時03分
» 20世紀少年 (唐沢寿明さん) [yanajunのイラスト・まんが道]
◆唐沢寿明さん(のつもり)唐沢寿明さんは、現在公開中の映画『20世紀少年』に主人公・ケンヂ(遠藤健児)役で出演しています。昨日はいわゆる映画の日で、1000円で鑑賞できるということもあって、久しぶりに劇場に足を運びました。... [続きを読む]
受信: 2008年9月 2日 (火) 22時45分
» 【映画】20世紀少年 第1章 [新!やさぐれ日記]
■動機
ラストがみたいだけ。
■感想
ラストがみたいだけ。
■満足度
------- おいとき
■あらすじ
翌年に大阪万博開催を控え、人類が初めて月に降り立った1969年の夏、小学生のケンヂは、同級生の仲間たちと空き地の原っぱに秘密基地を作った。そんな彼らの秘密の遊びの一つである“よげんの書”には、悪の組織、世界征服、人類滅亡計画、それを阻止する正義の味方など空想の数々が描かれ、彼らをワクワクさせるのだった。
■コメント
感想と言ってもどこから手をつけて言いか全く分からないのが... [続きを読む]
受信: 2008年9月10日 (水) 22時52分
» 【2008-203】本格科学冒険映画 20世紀少年 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
待望の実写映画化! 全3部作の第1章、降臨。
世界が
終わろうとしています。
ぼくらの
“ともだち”によって──。
[続きを読む]
受信: 2008年9月19日 (金) 23時21分
» 20世紀少年 [利用価値のない日々の雑学]
待望の鑑賞である。先週ま三連休も含め、自宅近くのシネコンは映画作品の各シアターへの振り分けが大変下手だ。1000名入る会場から小さいのは150名程度だが、兎に角前すら思っていたが割り振りが下手過ぎる。確かに住宅街にあり、また駅前にありというところで色々な鑑賞者の種類があるものの、だからシネコンなのであって、例えば、最新の興行ランキングなんか全く無視をしている。だから先週は「おくりびと」と 「パコ」は各回共売り切れ、「ポニョ」なんて未だに2スクリーン、しかも大きな会場を同時でやってて、片方はガラガ... [続きを読む]
受信: 2008年9月21日 (日) 15時29分
» 「20世紀少年 」まじめに作ってるのか、笑っていいのか・・・ [soramove]
「20世紀少年」★★☆
唐沢寿明 、豊川悦司 、常盤貴子 主演
堤幸彦監督、2008年、144分
浦沢直樹の大ヒットコミックス実写版3部作、第1弾。
これ見ておかないと、
あと2作続くからなと
劇場へ、まあまあの入り。
なぜかほっとする。
製作者でもないの...... [続きを読む]
受信: 2008年9月22日 (月) 22時48分
» 「20世紀少年」 [ば○こう○ちの納得いかないコーナー]
「目が腐ってしまう様な、と言うより不愉快を通り越して、失ってしまった時間を取り戻す為に、裁判にでも掛けたい気持ち。」映画評論家でも在るおすぎ氏が、映画「20世紀少年」に付いて記した文章だ。時には的を射た指摘も在るが、彼が「泣きました!」とか「感動しました!」と絶賛する作品は概して良いと思った事が無い。レギュラー出演している「森田一義アワー 笑っていいとも!」ではタモリ氏のワンパターンな芸風に対し、「もータモちゃん、面白いんだから〜。」と阿る姿を散々見ているので、映画でも「何等かの思惑が在っての評論で... [続きを読む]
受信: 2008年9月23日 (火) 18時22分
» 映画:20世紀少年 観てきました。 [よしなしごと]
原作も知らないし、当初は見ないつもりだったのですが、かなり人気もあるようだし・・・。20世紀少年を観てきました。 [続きを読む]
受信: 2008年9月28日 (日) 23時06分
コメント
あれだけ叩きが上手いからこの作品に登場する宗教に酷似した
某宗教に対しての叩きもあると思ったが、さすがにない。
まぁ、賢明だと思いますよ。いろいろな意味で。
投稿: | 2008年9月 1日 (月) 10時32分