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シークレット・サンシャイン 【称号:佳作】

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夫の死を機に、都会から地方都市に引っ越してきた女性シネ。しかしその新天地で最愛のひとり息子が誘拐犯にさらわれてしまう。地元の愚直な男ジョンチャンは、絶望のどん底にいるシネを支えようとする。(MovieWalkerより抜粋)

チョン・ドヨンが韓国人初のカンヌ映画祭主演女優賞をゲットしただけあって鬼気迫る演技を見せる。これなら鳥居みゆきも取れるんじゃないか??

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交通事故で亡くなった夫の故郷だからという理由で主人公シネは小さな息子を連れて密陽(ミリャン)に越してくる。そこで彼女はおそらく女性にとって最上級ともいえる悲劇に見舞われる。この映画はそんな彼女の再生の物語だ。家族を失う、それも小さな息子を失う喪失感とは想像を絶するものがある。どれほど気丈な大人でもそうそう耐えられるものではない。ましてやシネは夫を亡くしての母子家庭。息子の成長だけが心のよりどころであり彼女のすべてだ。それも誘拐殺人。さらに犯人は信頼して息子を預けていた塾の先生だ。

つなぎの作業着が見つからないという理由で白昼のアキバで大暴れしたアニメ&ゲームオタクがいるそうだが、彼女の絶望は作業着どころのレベルじゃない。子供を失ったのだ。作業着なんてまた調達すればいいだけの話なのに7人も殺すなんてこの手の人たちというのは何をしでかすか分からない。中学生まで成績がよかったけど高校で挫折して身分は派遣社員でアニメ&ゲーム好きかつ彼女がいないという人物は要注意ということなのか。
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それはともかく彼女は最愛の息子をもっとも理不尽な形で失ってしまう。もともと微妙に情緒不安な女性だけにおぞましい悲劇は彼女の人格すらも破綻させてしまう。絶望のどん底に落とされた母親をチョン・ドヨンは残酷なほどに生々しく表現する。真の絶望は情緒を破壊して人から表情を奪う。彼女はまるで能面のように喜怒哀楽をなくす。しかし突発的に怒りや悲しみが沸騰する。その姿は気の毒を通り越して痛々しい。

しかしそんな彼女も生きていかなければならない。息子がいない現実の人生を歩んでいかなければならないのだ。そして彼女は信仰に救いを見いだす。韓国はキリスト教徒が多いそうで教会ではたくさんの信者たちが祈祷を捧げている。キリストの教えに心酔した彼女は熱心に教会に通い出す。彼女に思いを寄せるジョンチャンも教会につき合うようになる。

だが息子を失う喪失感と悲しみは想像以上に甚大だ。にわか仕込みの信仰ではとても癒されるものではない。それどころか彼女はキリストの教えに矛盾を感じるようになる。なぜ息子は守られなかった? なぜ犯人は神の御名において許される? 不公平じゃないか! やがてそれは怒りへと変わりはけ口のない憎しみは天上の神様に向かうのだ。そう、彼女は神を呪うことで自分自身を癒そうとしているのである。
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これも一種の悪魔崇拝かもしれない。神父を誘惑してセックスする姿を天上の神々に見せつけようとする彼女の勝ち誇ったような表情は鬼気迫るものがある。キリスト教徒にはショッキングなシーンだろう。しかしこうでもしないと生きていけないということも分からないでもない。子供を失う悲劇とはそれほどまでに過酷で残酷なものなのだ。これで少しでも悲しみが癒されるのなら彼女に呪われる神という存在にも意義がある。人々の魂を救って癒す。それが本来の神様の仕事だ。すがるばかりが神じゃない。それで気が済むなら呪ったっていいじゃないか。そのために神は存在する。本来、神様とは人間たちが抱く負の感情のはけ口であるべきだ。彼女は神を呪うことを選んだ。そんな彼女は教会の集会にいたずらしたりして神様に嫌がらせをする。

チョン・ドヨン演ずる母親があまりに痛々しくて危なっかしくて見ていられない。彼女はギリギリの線で正気を保っているがいつ狂気に転ぶか分からないのだ。子供を失う悲しみに同情できてもその後の彼女の言動に多くの人たちはとても共感できまい。終盤の彼女はほとんど人格が破綻している。彼女に下心を抱くジョンチャンもただ振り回される存在にすぎない。同じ現実に生きていても精神世界の次元が違うのだ。彼の好意は彼女になんら影響を与えない。彼女の負の感情は下心だけの彼にはかけらも共有できないのだ。

全体的に何かを示唆したり暗示する思わせぶりな演出が多いのである程度の感受性が必要だ。僕はこういう分かりにくい演出は苦手だが、ジャン・リュック・ゴダール作品あたりを好む映画通な人たちならきっと楽しめると思う。なんとなく優れた映画であることは伝わってくる作品だ(60点)

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受信: 2008年6月25日 (水) 21時55分

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