最高の人生の見つけ方 【称号:良作】
こういう余命幾ばく系映画は役者の力が重要だ。日本だとどうしてもしんみりしてしまうのは欧米人との宗教観や死生観の違いだろうか。本作は死を間近に迎えた二人の男の物語だが悲壮感がない。ここまで湯水の如く金を使って楽しめれば悔いはないだろうと思えちゃう。
さすがは二大オスカー俳優の大御所だけあってそのクオリティは高い。安心して見ていていられる。情熱的なジャック・ニコルソンと抑制的なモーガン・フリーマンの演技。片方が話し上手なら片方が聞き上手。対照的な味をもつ二人だがからみあうとスイカに塩をまぶしたようにうまみが増す。
役柄ももちろん二人の特徴に合わせたキャラクターだ。金に恵まれたニコルソン演じるエドワードと家族に恵まれたフリーマンのカーター。二人を足して二で割ればちょうどよい。そんな二人が同じ病室となり同時に同じ医者から余命宣告される。残された時間をどう生きるか。二人は金に糸目をつけないでやり残してきたことをまっとうしようと病院を抜け出して自家用ジェットで世界を飛び回る。

彼らはピラミッドに上ったりサーキットを借り切ってマスタングでカーチェイスしたりとやりたい放題。南仏でバカンスして香港で高級料理を食ったりと余命半年だけど羨ましい。この死ぬまでにやりたいことを書き出す棺桶リストっていいかもしれない。僕だったらとりあえず①フェルメールの絵画作品を全部みる ②長編小説を書く ③お世話になった人に「ありがとう」を言う ④オーロラを見る……くらいしか思いつかない。しかし死を目の前にしてこれらを心から楽しめるかどうか自信がない。それにやはり家族と過ごす時間も大切だ。それは自分以上に残された家族にとって大切な時間だと思う。家族に恵まれた人生を送ったカーターがそんな葛藤に陥る。
この映画は役者の力が大きいが実は脚本も光っている。おなじ余命幾ばく系映画『象の背中』みたいに安直なお涙頂戴になっていない。この手のお話はどうしてもしんみりと悲しいものになってしまうが、見終わると妙に前向きな気持ちになれるあたりがポイントだ。なにより棺桶リストの使い方が巧い。特に「世界一の美女とキスをする」のオチは感涙した。まさに「こうきたか~」である。優れた伏線の絶妙の回収である。驚きよりも喜びや感動を与える本当の意味で優れた演出だ。このシーンだけで僕はこの映画を見てよかったと思った。

前半の超贅沢旅行はファンタジックすぎて実に痛快。調子こいたホリエモンがやりそうな旅行だがジャック・ニコルソンだと不思議と嫌味がない。モーガン・フリーマンのちゃっかりぶりも憎めない。しかしこの贅沢旅行はあくまでもオードブルにすぎず話の本質は二人がケンカ別れしてからだ。それまでは非現実的な旅行で死への恐怖を紛らわせていた。しかし二人は徐々に受容に入っていく。二人のケンカ別れもその一環かもしれない。別れたあともエドワードは未達成のリストを埋めていくことになる。それが彼の今までの人生において欠けていたものばかりであるという演出も心憎い。
そしてラスト。ちょっとしたサプライズで幕を閉じる。先に逝くのはどちらなのか、未達成だったエベレスト登頂はいかにして処理されるのか。観客の予想を覆しながらこれまた見事な着地を見せてくれる。(70点)

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
投票クリックおねがいします!!
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 闇の子供たち 【称号:秀作】(2008.08.04)
- マンデラの名も無き看守 【称号:凡作+】(2008.08.07)
- スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー 【称号:愚作】(2008.08.06)
- 敵こそ我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~ 【称号:凡作】(2008.08.05)
- 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 【称号:秀作】(2008.08.03)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/223845/41222916
この記事へのトラックバック一覧です: 最高の人生の見つけ方 【称号:良作】:
» 最高の人生の見つけ方 [ネタバレ映画館]
ミシェル・ファイファーの名前(うろ覚え)もジャック・ニコルソンの顔も『ダークナイト』の宣伝目的なのかと思ってしまう・・・ [続きを読む]
受信: 2008年5月17日 (土) 09時06分
» 「最高の人生の見つけ方」 第2位! [映画コンサルタント日記]
上映スクリーン数: 230 オープニング土日興収: 1.9億円ジャック・ニコルソ [続きを読む]
受信: 2008年5月19日 (月) 08時06分
» 「最高の人生の見つけ方」は意見の分かれる作品〜ジーンと来るけど、月並みとも言えるし・・ [万歳!映画パラダイス〜たまプラほろ酔い日記]
久しぶりに洋画を見た。ニュージーランドに約5週間行っていた元大手マスコミ編集委員が、成田からメールしてきて、機内で見て「感激した。見るべし」と言う。もともとジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの共演とあってはまさに「見るべし」ものなので、引っ越し....... [続きを読む]
受信: 2008年5月19日 (月) 15時31分
» 「最高の人生の見つけ方 」今、何が出来るかリストをどんどん増や... [soramove]
「最高の人生の見つけ方 」★★★☆
ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン主演
ロブ・ライナー 監督、2007年、アメリカ、96分
人は生まれた瞬間から
死ぬまでの人生を生きている。
予告を見て是非見たいと思っていた作品。
余命半年と宣告された主...... [続きを読む]
受信: 2008年5月25日 (日) 02時52分




コメント
はじめまして!
私にも、お金持ちの友達がいたらと思います。
TBさせて頂きました。
投稿 耕平 | 2008年5月17日 (土) 09時36分