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アフタースクール 【称号:佳作+】

After_school
中学教師の神野は元同級生の私立探偵に協力し、失踪した親友の木村を探すことになる。調査が進むうちにまじめなはずの木村の意外な一面を知り、神野は驚きを隠せない。しかし、その先にはさらに衝撃の事実があった。(MovieWalkerより抜粋)

『運命じゃない人』で注目された内田けんじ監督作品。さて今回はどんな巧妙なシナリオを見せてくれるのでしょうか??

After_school_1

この映画を見ようと思ったのは『運命じゃない人』の監督さんだから。デビュー作品の『運命じゃない人』の脚本の巧さにはマジで感心した。今回、この映画を見てからまた見たくなってそのままレンタルビデオで借りてきちゃった。

さてこの映画は予備知識を一切入れずにさっさと見てしまうことをオススメしたい。『運命じゃない人』と同じくトリッキーな脚本だ。前半でトリックを仕掛けておいて後半で種明かしというもはや内田監督のスタイルになっている。最近では『キサラギ!』『机のなかみ』がそんな感じだった。随所にはりめぐらされた伏線を絶妙なタイミングで回収していく。それがまた観客へのミスリードにつながっているあたりもお見事。

全体として面白いというより巧いという感想だ。トリッキーな脚本というのは観客をだまそうだまそうという思惑ばかりが先行して肝心のストーリーが面白くないということが多々ある。しかし内田監督の作品はミスリードも素晴らしいがちゃんとドラマとして楽しめるところが好感だ。特に会話がいい。思わず笑っちゃったりうなずいてしまう台詞の数々も脚本の巧さだと思う。

内容はヤクザが出てきて拉致されたりして何かと物騒な雰囲気で展開していくがパズルピースが一枚一枚はめ込まれるように見えてくる絵は実に優しい視線で描かれている。どんでん返しに次ぐとんでん返しでなかなか見えてこないが物語の根底にあるのは人間的な優しさだ。卑怯だと思っていた人間が実は善良だったというオチは分かってはいても嬉しいものである。こういう優しさが心地よい。
After_school_2

これ以上はネタバレになってしまうので触れないがこの監督さんの作品は地味で小粒ながらピリリと山椒のように引き締まった味がある。この路地裏的小粒感が本作の魅力であろう。今回はシナリオ以上に役者さんたちが巧いと思った。特にうさんくさい探偵を演じた佐々木蔵之介は巧すぎる。彼の表情や台詞の間の取り方などすっとぼけた演技にみえながら実は精密に計算されたものであるような気すらする。また堺雅人の万年笑顔はある意味、職人芸だ。喜怒哀楽をすべて笑顔で表現できるのはこの人だけだろう。そして大泉洋の見事なヘタレっぷり。こんな彼らの演技ですらギミックになっていたりするのだ。

ただ比較的分かりやすかった『運命じゃない人』に比べると本作はかなり複雑になっている。1回見ただけではトリックのすべてを把握するのは難しいと思う。前半と後半のギャップも激しくて漫然と見ていると唐突感がある。ここで思考を停止してしまうと一気に置いてけぼりを食らってしまうので注意が必要だ。1回の鑑賞ですべてを理解しようと思うのならキャラクターの一挙一動、小道具、会話を注意深く吟味していく必要がある。特に中盤付近で急変する人間関係についてはさらに注意が必要だ。

というわけで見ている間は少々分かりづらいところもあるがあとでじっくりと振り返ってみると、ああ実に巧妙なストーリーなんだなと感心すること請け合いだ。ただ個人的には『運命じゃない人』には遠く及んでいないと思う。何気ないワンシーンを視点を変えることによって多面性や意外性をもたせる演出は神技だった。それに比べると本作はレベルの高いところで物足りなさを感じてしまう。次回作も期待できる監督さんでしょう。(66点)

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