NEXT―ネクスト― 【称号:凡作+】
ハゲのくせに妙に澄んだ瞳が魅力的なニコラス・ケイジ。先日鑑賞した『ウィッカーマン』といいなんでこんなヘンチクリンな映画ばかり選ぶんだろう。共演のジュリアン・ムーアも『フォーガットン』みたいなトンデモ映画に出ているが今回も相当にトンデモだ。しかしオスカー俳優でありながらこの手のB級に嬉々として顔を出す役者魂は好感が持てる。
さて今回は「2分先」の未来が見えるという超能力を持ったオッサンのお話。原作はやっぱりというかフィリップ・K・ディックさんだ。主人公クリスはその能力を持っているが決して目立とうとはしない。ときどきカジノに現れては目立たない程度に小銭を稼ぐだけだ。しかしその能力がFBI捜査官たちに見破られてしまう。危険を予知したクリスはその場から逃亡するが彼を追っていたのはFBIだけではなかった。
2分先が見えるので自分にふりかかってくるピンチはすべて回避できる。この映画の見所は数々のピンチ回避シーンにあるといっても過言じゃないだろう。たとえば格闘になっても相手がいつどんなパンチを放ってくるか分かるので簡単によけられる。拳銃を持った相手であってもその弾道が前もって分かっているので楽勝なのだ。
彼はたとえば女を口説くにもいろんな手法を未来予想で試してみる。相手がOKを出すまで何度も何度もアタックをしてダメだったら却下していく。観客は何度もそんなシーンを見せられるから果たして今目にしているシーンが現実なのかそれとも未来予想なのか区別がつかない。これが本作の面白いところでもあるのだ。とくにヒロインを口説くシーンの粘り強さは彼の能力をうまく使って観客を笑わせている。

このプロットのポイントは2分先というルールだろう。脚本は難しくなるがこのルールを厳守すべきだった。2分先という制約をつけることによって主人公は無敵ではなくなる。敵もクリスの裏を掻くことが可能になるわけだ。これをクリスがいかにして乗り切るかが見所になったはずなのに残念ながらそうなっていない。中盤からこの2分先ルールがほぼ無視されてしまう。といっても脚本家がルールを忘れたというわけでなくある条件下では時間の制約がなくなってしまうのだ。結局そうなっちゃうと「なんでもアリ」になる。クリスはこの時点で完全無敵状態だ。それまで張り詰めていた緊迫感は一気に弛緩してしまう。そこへもって悪役であるテロリストたちが没個性のマヌケ集団なのでさらに面白味がない。
というわけで脚本も相当に大ざっぱ。だいたい目立たないようにしていたクリスの能力をどうやってFBIは気づいたのか、テロリストたちは核を強奪して何をやるつもりだったのかなど事件の背景がまったく説明されない。またラストのオチだがこれも相当に賛否が分かれそうだ。多くの人が椅子からズッコケそう。こういうオチは本来禁じ手だと思うがこの映画に限っては個人的には許せる。
粗やツッコミどころは満載だがつまらないかと言われればそうでもない。アホらしさ全開ながらも意外と楽しめてしまうから不思議だ。ニコラス・ケイジ主演のB級作品はそういうのが多い。(55点)

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コメント
この映画は誉めるところを見つけられないよ
投稿: 通りすがりのイカそうめん | 2009年1月10日 (土) 03時00分