モーテル 【称号:凡作+】
人気のない山中の寂れたモーテル。ケータイが通じないのもお約束。主人公の夫婦が乗っている車が深夜にこんな場所でエンストしてしまいます。修理工とも朝まで連絡が取れないからこの安モーテルに宿泊するしかない。フロントにはいかにも怪しい男が立っている。こんなシチュエーションで生き別れになっていた母と10年ぶりの再会を果たすなんて感動的なお話しになるわきゃありません。おおかたの予想通り、この夫婦にはロクでもないことが襲いかかります。『デビルスゾーン』や『蝋人形の館』のようないわゆるツーリスト・トラップもの。しかし今どきこんなネタをぶつけてくるなんてかえって新鮮かも……。
ボロい部屋に入るとテレビの上にはビデオテープが置いてある。暇つぶしにつけてみると若い女性が覆面をした男たちにぶっ殺されている。「アハハハ~、こりゃ愉快だぁ」と見ていた夫ですがとんでもないことに気づきます。なんとテレビに映っている映像はこの部屋の出来事じゃないですか!! なんとビデオはスナッフフィルムだったのだ!!! ひぇええ~って話です。
いわゆる70年代B級ホラーのテイストだ。はっきりいってそれ以上の期待をしてはいけない。ヒロインはケイト・ベッキンセールだがセットも演出も全体的にチープだ。あえて低予算に抑えることで当時の雰囲気を出そうとしているのかもしれない。チープな作りも確信犯なのだろう。

いい意味でも悪い意味でも現代的な要素はほとんどない。ケータイは使い物にならないしネットも登場しない。スナッフフィルムもDVDやブルーレイじゃなくてVHSテープだ。モーテルもトビー・フーパー監督の『悪魔の沼』に出てくるような宿泊どころか2時間休憩ですらためらってしまうような劣悪さである。水道からは腐った茶色い水が出てくるしシーツは黄ばんでいるしゴキブリは出てくる。テレビ番組だって写らない。そこへもってスナッフフィルムだよ。もちろん餌食になるのは宿泊客だ。
ちなみにスナッフフィルムとはいわゆる殺人フィルムのこと。「決定的死の瞬間」の事故死や戦争やテロリズムで殺される映像ではなくあくまで撮影のために人を殺す。そのシーンを淡々と収めたフィルムのことだ。世界中に愛好家がいて闇ルートで高値にて流通されている。もっともこんなのは都市伝説だが世界中のどこかでは本当にありそうな話だ。『スナッフフィルム追跡』(ヤーロン・スヴォレイ著 扶桑社ノンフィクション)によればフィルムの秘密上映会に潜入したらお客の一人にロバード・デ・ニーロがいたなんてことが書いてある。真偽のほどは定かではないが好奇心をくすぐる話だ。むかしアルゼンチンの映画に『スナッフ』という作品があって日本でも上映されて本物かどうかで話題になったことがある。いくらおおらかな昭和といえ本物がかかるわけもなく、もちろんフェイクだったわけだがそれだけ人々の関心を集めるネタだったのだ。もし本物が存在するなら怖いモノ見たさで見てみたい気もするが、やっぱり怖じ気づいちゃうだろうなあ……。
さて、このモーテルの秘密を知ったふたりはなんとか逃げだそうとするわけだ。しかし部屋の周囲はすでに殺人者によって押さえられている。部屋の中ですら隠しカメラで監視されいるのだ。電話も通じないし武器もない。二人は出入り口を塞いで部屋に籠城する。しかしいつまでもそうしてはいられない。スナッフフィルムを見る限り、どこかに隠し通路が存在するようなのだ。殺人者たちはそこから自由に出入りできるらしい。かくして二人はその通路を見つけ出して決死の脱出をはかろうとする。
舞台はモーテルの敷地内に限定されている。登場人物も夫婦と管理人と殺人者だけだ。こういう限定されたシチュエーションがなかなかの緊迫感を生み出している。監督さんも心得たもので殺人者たちはなかなか姿を現さないし部屋の中にも入り込んでこない。じっくりとタイミングを窺っている。このジワジワとした演出が観客の不安を逆撫でする。殺人者たちもさっさと突入してくれば簡単にことが済ませるのだがそれでは物語にならない。不自然なほどに様子を窺っているのだ。
たったこれだけのネタなので上映時間も85分足らずと短い。このシンプルさは好感が持てる。頭の中を空っぽにしてキャーキャー言いながら楽しめるホラーだ。残虐シーンも控えめなので最近の行き過ぎホラーに抵抗感のある人も安心だ。
ただB級ホラー以外なにものでもなくクオリティもそのまんまなので過剰な期待は禁物だ。どちらかといえば劇場よりも家で寝そべりながら暇つぶしに見るタイプの映画です。(55点)

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コメント
普通の娯楽映画を批判的に論ずれば映画通に見られると思ったか?ホームラン級の馬鹿だな。
映画を見下して優越感に浸るとか話にならん。マスターベーションは一人でしてろ
投稿: アンゲロプロス | 2007年11月21日 (水) 15時23分