« パーフェクト・ストレンジャー 【称号:凡作】 | トップページ | コーヒー&シガレッツ 【称号:凡作】 »

モーテル 【称号:凡作+】

Motel
近々離婚するデビッドとエイミーの夫婦は、夜の田舎道で車が故障し、モーテルに泊まる。部屋にあったビデオを再生すると、同じ室内で撮られた殺人場面が映し出された。彼らは隠しカメラを発見し、慌てて逃走を図る。(MovieWalkerより抜粋)

70年代のグラインドハウス系B級ホラーが好きな人向け。深夜の洋画劇場でひっそりと放映されて眠れないからうっかり見てしまって数年後には記憶のカスになってしまうようなそんな映画です。

Motel_1

人気のない山中の寂れたモーテル。ケータイが通じないのもお約束。主人公の夫婦が乗っている車が深夜にこんな場所でエンストしてしまいます。修理工とも朝まで連絡が取れないからこの安モーテルに宿泊するしかない。フロントにはいかにも怪しい男が立っている。こんなシチュエーションで生き別れになっていた母と10年ぶりの再会を果たすなんて感動的なお話しになるわきゃありません。おおかたの予想通り、この夫婦にはロクでもないことが襲いかかります。『デビルスゾーン』や『蝋人形の館』のようないわゆるツーリスト・トラップもの。しかし今どきこんなネタをぶつけてくるなんてかえって新鮮かも……。

ボロい部屋に入るとテレビの上にはビデオテープが置いてある。暇つぶしにつけてみると若い女性が覆面をした男たちにぶっ殺されている。「アハハハ~、こりゃ愉快だぁ」と見ていた夫ですがとんでもないことに気づきます。なんとテレビに映っている映像はこの部屋の出来事じゃないですか!! なんとビデオはスナッフフィルムだったのだ!!! ひぇええ~って話です。

いわゆる70年代B級ホラーのテイストだ。はっきりいってそれ以上の期待をしてはいけない。ヒロインはケイト・ベッキンセールだがセットも演出も全体的にチープだ。あえて低予算に抑えることで当時の雰囲気を出そうとしているのかもしれない。チープな作りも確信犯なのだろう。
Motel_2

いい意味でも悪い意味でも現代的な要素はほとんどない。ケータイは使い物にならないしネットも登場しない。スナッフフィルムもDVDやブルーレイじゃなくてVHSテープだ。モーテルもトビー・フーパー監督の『悪魔の沼』に出てくるような宿泊どころか2時間休憩ですらためらってしまうような劣悪さである。水道からは腐った茶色い水が出てくるしシーツは黄ばんでいるしゴキブリは出てくる。テレビ番組だって写らない。そこへもってスナッフフィルムだよ。もちろん餌食になるのは宿泊客だ。

ちなみにスナッフフィルムとはいわゆる殺人フィルムのこと。「決定的死の瞬間」の事故死や戦争やテロリズムで殺される映像ではなくあくまで撮影のために人を殺す。そのシーンを淡々と収めたフィルムのことだ。世界中に愛好家がいて闇ルートで高値にて流通されている。もっともこんなのは都市伝説だが世界中のどこかでは本当にありそうな話だ。『スナッフフィルム追跡』(ヤーロン・スヴォレイ著 扶桑社ノンフィクション)によればフィルムの秘密上映会に潜入したらお客の一人にロバード・デ・ニーロがいたなんてことが書いてある。真偽のほどは定かではないが好奇心をくすぐる話だ。むかしアルゼンチンの映画に『スナッフ』という作品があって日本でも上映されて本物かどうかで話題になったことがある。いくらおおらかな昭和といえ本物がかかるわけもなく、もちろんフェイクだったわけだがそれだけ人々の関心を集めるネタだったのだ。もし本物が存在するなら怖いモノ見たさで見てみたい気もするが、やっぱり怖じ気づいちゃうだろうなあ……。

さて、このモーテルの秘密を知ったふたりはなんとか逃げだそうとするわけだ。しかし部屋の周囲はすでに殺人者によって押さえられている。部屋の中ですら隠しカメラで監視されいるのだ。電話も通じないし武器もない。二人は出入り口を塞いで部屋に籠城する。しかしいつまでもそうしてはいられない。スナッフフィルムを見る限り、どこかに隠し通路が存在するようなのだ。殺人者たちはそこから自由に出入りできるらしい。かくして二人はその通路を見つけ出して決死の脱出をはかろうとする。

舞台はモーテルの敷地内に限定されている。登場人物も夫婦と管理人と殺人者だけだ。こういう限定されたシチュエーションがなかなかの緊迫感を生み出している。監督さんも心得たもので殺人者たちはなかなか姿を現さないし部屋の中にも入り込んでこない。じっくりとタイミングを窺っている。このジワジワとした演出が観客の不安を逆撫でする。殺人者たちもさっさと突入してくれば簡単にことが済ませるのだがそれでは物語にならない。不自然なほどに様子を窺っているのだ。

たったこれだけのネタなので上映時間も85分足らずと短い。このシンプルさは好感が持てる。頭の中を空っぽにしてキャーキャー言いながら楽しめるホラーだ。残虐シーンも控えめなので最近の行き過ぎホラーに抵抗感のある人も安心だ。

ただB級ホラー以外なにものでもなくクオリティもそのまんまなので過剰な期待は禁物だ。どちらかといえば劇場よりも家で寝そべりながら暇つぶしに見るタイプの映画です。(55点)

Blog_ranking_banner
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
投票クリックおねがいします!!

|

« パーフェクト・ストレンジャー 【称号:凡作】 | トップページ | コーヒー&シガレッツ 【称号:凡作】 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

普通の娯楽映画を批判的に論ずれば映画通に見られると思ったか?ホームラン級の馬鹿だな。
映画を見下して優越感に浸るとか話にならん。マスターベーションは一人でしてろ

投稿: アンゲロプロス | 2007年11月21日 (水) 15時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/223845/17118634

この記事へのトラックバック一覧です: モーテル 【称号:凡作+】:

» モーテル [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『宿泊料、イノチ。』  コチラの「モーテル」は、タイトルの通り「モーテル」を舞台に繰り広げられる恐怖を描いた11/17公開のPG-12指定のスリラーなのですが、こうゆう映画は苦手と言いつつも、わざわざ観に行っちゃいました(゚∇^*) テヘ♪  いやね、本当に苦手なの...... [続きを読む]

受信: 2007年11月20日 (火) 20時36分

» 「モーテル」近道は良いことばかりじゃない [soramove]
「モーテル」★★ ケイト・ベッキンセール 、 ルーク・ウィルソン主演 ニームロッド・アンタル監督、2007年、85分 日々は何かと慌ただしく、 信号が青だとまだ交差点まで 少しあるのに、走って渡ろうとしたり、 閉まりかけの地下鉄のドアに 勢いよく駆込んだ...... [続きを読む]

受信: 2007年11月28日 (水) 08時07分

» モーテル [ネタバレ映画館]
必殺!ヴァンパイアのベッキンセールによる噛み付き吸血攻撃〜 [続きを読む]

受信: 2007年12月 1日 (土) 12時22分

» 映画「モーテル」(2007年、米) [富久亭日乗]
     ★★★★☆  正統派のB級サスペンスだ。 あまり話題になっていないようだが、面白かった。 原題は、空室の意の「vacancy」。   夜中、山中で車が故障したため、 主人公の若夫婦はしかたなくモーテルにとまる。 そこは、アルフレッド・ヒッチコック監督「サイコ」(1960、米)に出てくる 「ベイツ・モーテル」のように気味が悪いモーテルだった。 フロントの男はいわくありげで、 案内された「4号室」は、ゴキブリがでるわ、 水道水は茶色だわ、騒音はするわで、 じわじわと不快感が高まってくる。 夫が... [続きを読む]

受信: 2007年12月 4日 (火) 21時40分

« パーフェクト・ストレンジャー 【称号:凡作】 | トップページ | コーヒー&シガレッツ 【称号:凡作】 »