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呉清源 極みの棋譜 【称号:拙作】

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昭和3年、北京で囲碁の天才少年と呼ばれた呉清源が14歳で来日。日本の棋士たちを打ち破り、瞬く間にトップに上り詰める。だが、厳しい勝負の世界に身を置く彼は孤独にさいなまれ、時代は日中戦争へと突入していく。(MovieWalkerより抜粋)

全盛期には日本囲碁界の第一人者として君臨し「昭和の棋聖」と呼ばれた呉清源の生き様を描いた作品です。囲碁界の高橋名人みたいな人だそうです。囲碁は1日30分!!

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呉清源なる人物のことは恥ずかしながら寡聞にして知りませんでした。というか囲碁とか将棋とか頭を使うゲームが苦手なのでこの世界のことはまったくの門外漢です。冒頭で本人が出てきて「猿に柿をたべられちゃんだよ」なんて話しているシーンがある。隣の品のいいご婦人はどうやら奥さんのようだ。現在でもご存命で100歳近い年齢なのに矍鑠とされていらっしゃる。この世界では伝説的な人物なのでしょう。大食い界でいう赤坂尊子みたいな存在(違うかな?)

当時、「中国に天才少年がいる」と日本囲碁界では噂になっていた。そこで瀬越憲作が彼の才能を伸ばそうと家族とともに日本に移住させたのだ。当時の囲碁レベルは中国より日本の方が高かった。日本にやってきた呉清源は並み居る強敵を次々と打ち破る。やがては日本には彼に対抗しうる棋士がいなくなるという異常事態に陥ったのだ。彼の大人気で対局を記事にした新聞社は部数を飛躍的に伸ばした。また女性にもモテモテで呉清源に陶酔するキャバクラ嬢までいたそうな。

幼い頃から四書五経を通読した彼はクイズ王もびっくりの博学ぶりだったらしい。人生において囲碁だけでなく哲学をも学究していた。また川端康成や坂口安吾、谷崎潤一郎などの文豪たちも随筆やコラムなどで呉清源のことを書いている。呉清源は文化人たちの感性を刺激する魅力的な人間だったのだ。そこへもって気品あるイケメンですから言うことありません。

田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)監督、呉清源をチャン・チェンが演じる。どうも呉清源が淡泊すぎる。彼は終始一貫して喜怒哀楽を見せない。まるで昆虫や植物のように粛々と生活をしている。正直、最後まで彼が何を考えているのかさっぱり分からない。たしかに物静かなたたずまいは彼の魅力の一つかもしれないがこの映画ではそこまでしか感じられない。見ようによっては単なる情緒バカ、風流バカにも見える。イケメンでなく囲碁もそれほど強くなかったらキモい囲碁オタクに過ぎない。
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それにしてもこの映画はあるていど呉清源なる人物を知っていることが前提だろう。何の予備知識なしで見ても彼と彼を取り巻く人物たちの素顔が見えてこない。てっきり群雄割拠を呈する囲碁界のガチンコ対局ストーリーかと思っていたが、実は囲碁のシーンもあまり描かれないのだ。むしろ呉清源が結核を患ったとかヘンテコな新興宗教にはまったとか兵役を免除されたとかあまり面白みのないエピソードに熱量を感じる。

たとえば彼は中国人で時代はまさに日中戦争に突入していくのに彼の葛藤があまり伝わってこない。呉清源は途中で囲碁を辞めてしまうがその理由も今ひとつ分かりにくい。だいたいこいつときたら座ればアホみたいにボーッとしているし、歩いているときもトボトボしているし動きがやたらと緩慢なのだ。そんな彼から感情が窺えない。だから何をしていてもその真意がつかめない。

囲碁界ではカリスマ的存在なのかもしれないがその人生は映像化すると案外つまらないということだろう。この作品を見る限り、それほど波瀾万丈な人生でもないしむしろ戦争でひどい目にあった一般市民たちの方がよほど悲惨だ。こいつらは学徒まで動員されて戦争していた時代にヌクヌクと囲碁に興じていたわけだ。呉清源にはパトロンもいたから経済的に苦しむこともなかった。

というわけで情緒ある美しい映像であるが物語はやたらと退屈で面白くない。また知識のない人がこの映画を見たからといってどれほど呉清源のことを知ることができるかいささか疑問である。存命の呉清源を気遣いすぎたというかリスペクトしすぎて面白味のない映画になっちゃったという感じだ。(47点)

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