ブレイブ・ワン 【称号:佳作】

NYでラジオ番組のDJを務めるエリカは、突然襲ってきた暴漢たちに婚約者を殺され、自身も深い傷を負った。犯人の男たちを捜す彼女は、夜の街をさまよい“復讐”を開始。やがて市警の捜査の手が彼女に伸びていく。(MovieWalkerより抜粋)
犯罪被害者の復讐と社会的秩序の葛藤は法治国家では永遠のテーマ。ジョディ・フォスター演じるエリカのとった行為は果たして許されるものなのか? 彼女、復讐を楽しんでいるような気がしないでもないんだな。

エリカは夜の公園で暴漢に襲われ瀕死の重傷を負い、婚約者は殺されてしまいます。退院して体の傷は癒えても心の傷は日に日に深くなっていく。そしてついに彼女は触ったこともない拳銃を非合法的に入手します。
ごくふつうの女性がある事件をきっかけに社会の枠からはみ出していくというストーリー。日本では美人作家の桐野夏生さんが得意とするジャンルですね。拳銃は魔力を持っている。目をつぶっていても引き金を引くだけで人の命を止めてしまえる。どんな凶悪な人間も銃口を向けるだけで従わせることができる。拳銃を向けるということはその人間の生殺与奪権を握ることであり、いわば神になれるわけです。
そういう意味で本作は『デスノート』と同じジャンルといえるだろう。拳銃を手にしたエリカはすぐに復讐に走るわけではない。法廷で裁けない人間をわざわざ撃ち殺しにいく。地下鉄の不良ヤンキーをためらいなく撃ち殺す。コンビニ強盗を問答無用で撃ち殺す。そのたびに彼女の精神は高いステージに上がっていく。手が震えたり怖じ気づくといった恐怖感を克服していく。
しかしこの映画に出てくるエリカが『デスノート』の主人公と決定的に違うところ。彼は歪んでいたにしろ「悪を滅ぼして理想の社会を作る」という正義感や使命感があった。しかし彼女にそんなものはない。彼女が人を撃ち殺すのはあくまでも衝動。殺人衝動だ。「やってみたら意外と爽快だった」という快感をおぼえたのかもしれない。女子高生の万引きと一緒だ。彼女は夜間わざわざ治安のわるそうなエリアをうろつく。最初は婚約者の命を奪った犯人を捜しているのかと思ったが必ずしもそうではない。獲物を物色しているのだ。世界一治安の悪いニューヨークだ。夜に女性が一人で歩いていれば何も起こらないはずがない。かくして彼女に悪意を持って近づく人間は彼女の凶弾のえじきとなる。
この映画にハナから正義なんてない。ピカレスク映画(悪漢映画)である。許すも許さないも彼女のやっていることは復讐でもなんでもない。ただの連続殺人である。さらに社会の反応を楽しむ愉快犯だ。タチが悪い。
彼女は市警の捜査官とコンタクトをとっている。彼をインタビューしながら事件に対する情報を集めている。それは逮捕を逃れるためのものではない。「悪人を処刑」することに対する警察や社会の反応を知りたいだけなのだ。DJの彼女はそれをテーマにリスナーとの会話を放送している。まさに自作自演なのだ。そして社会の反応に一喜一憂している。マトモじゃない。

彼女はいわば反社会的な人格障害である。もしこの映画が「本当の正義とは何か?」というテーマを提起しているのなら明らかに描き方を間違っている。彼女はシリアルキラーとなんら変わらない。殺人衝動の歯止めがきかなくなっているだけだ。
そんな彼女がついに犯人を見つけ出す。しかし彼女にとって彼らは復讐の対象ではもはやない。ただの獲物だ。撃ち殺す理由があればなんでもいい。かくして彼女は彼らを「狩り」に向かうのだ。
思うに作り手は「正義の本質」というテーマを提起しようとしている。つまり彼女のやっていることを「正義じゃないのか」とわずかにも思っているフシがあるのだ。だからあんなラストになるのだろう。しかしこれがわずかにでも正義の要素があるというのならあまりにも筋違いだ。『デスノート』の夜神月を認めることになる。
人間としての一線を越えることはある意味快感なのかもしれない。社会の枠からはみ出すこともしかりだ。守るものがなくなれば怖いものなんてない。きっと死ぬことすら恐れないだろう。エリカはそのレベルにまで達観したのだ。無敵の精神力を備えた彼女は殺戮に走る。いくら対象が悪人とはいえこんなの正義でもなんでもない。
しかし面白いことに悪人が次々と成敗されるシーンはやはり痛快だ。その痛快は彼女の行為を正義と誤認させてしまうほど。それゆえそこに正義というテーマがこめられているんではないかと錯覚してしまう。
いくらなんでもラストは行き過ぎだ。だいたいあんなんでは警察の科学捜査はごまかせない。たしかにカタルシスを得られるラストだが正義というテーマを完全に放棄している。やっぱりただの悪漢映画なのだ。頭のオカシイおばさんが殺戮をくり広げるホラーサスペンス映画です。でも面白かったのでよしとしよう。(64点)

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» ブレイブ ワン [映画通信シネマッシモ☆プロの映画ライターが贈る映画評]
ニール・ジョーダンのクールな演出とジョディ・フォスターの熱演が光る問題作。暴漢に恋人を殺されたヒロインの取った行動は、自衛のために銃を手にすること。正義のために引き金を引いても、それを爽快と感じない主人公の苦悩をジョディが熱演し、さすがの上手さを見せる。....... [続きを読む]
受信: 2007年10月29日 (月) 16時06分
» ブレイブワン [アートの片隅で]
「ブレイブワン」の試写会に行って来ました。
もう当たらないかと思っていたら、公開日前日の試写会に当選しました。 [続きを読む]
受信: 2007年10月30日 (火) 17時54分
» ブレイブ ワン [佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン]
またしても「復讐の連鎖」の映画化で、そのためか、イラク戦争も台詞に出て来る。見方を変えれば、ビンラーディンだけでなく、イラクも憎い、イランも憎い、シリアも憎い、てな感じのホームエディション風連続殺人が911の最大の被害地ニューヨークで行われたということか。... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 08時28分
» ブレイブワン [UkiUkiれいんぼーデイ]
ラジオ放送で1分間の沈黙は放送事故になるよね。゜+.(*e_e*).+・゜
チラシに大きな字で
「許せますか、彼女の 選択 」と。
許しましょう!!!
えぇ〜もう、これくらいしないとねぇ(((。・`▽´・)/
だぁ〜い好きなジョディ・フォスター姐さんの最新作ってことで、
ちょうど夫が娘を連れて出かけてくれたこともあって
先週に続き、初日の初回で観てまいりましたぁ(八^▽)♪
素敵!ステキ!すってぇきぃー!
ジョディ... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 08時49分
» ブレイブ ワン [ネタバレ映画館]
エリカを許せるかって?ええ、宍戸エリカなら許せます・・・ [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 08時58分
» 感想/ブレイブ ワン(試写) [EDITOREAL]
それは勇気ではなく…。『ブレイブ ワン』10月27日公開。FMパーソナリティのエリカは、結婚目前のフィアンセと夜道を歩いているところを3人組の暴漢に襲撃される。病院で目覚めたエリカに知らされたのは、3週間意識が戻らなかったこと、そして最愛の人の死。退院してもショックから抜け出せないエリカは、自らを守るため衝動的に銃を手にする。
ブレイブ ワン
全身全霊がぐったりするほどに完全なる社会派。テーマはずばり「私刑」。何度も何度も繰り返し論じられてきているテーマだけど、こういう描き方は堪えます。。予... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 09時38分
» 『インベージョン』 [ラムの大通り]
----このタイトルの意味って“侵入”だっけ。
昔、テレビで『インベーダー』というのがあったけど、
もしかしてこれもSFものニャの?
「ほほ〜っ。
フォーンだったら
てっきりインベーダー・ゲームを連想するかと思った」
---バカにしニャいでよ。
主演はニコール・キッドマンか。
あれっ、相手はダニエル・クレイグ。
『007/カジノ・ロワイヤル』以来だね。
どんなお話ニャの?
「ある朝、目が醒めたらなんだか周囲の空気が違う。
ブログでは家族が別人になったという告白が相次ぐ。
街では人々が感情をなくしたか... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 09時39分
» ブレイブ ワン [そーれりぽーと]
被害者による裁きは正義なのか?
『ブレイブ ワン』を観てきました。
★★★★
『処刑人エリカ様・ビギンズ』とでもサブタイトルが付きそう。
アメコミダークヒーローモノからファンタジー色を廃除したらこうなりました。
エリカ(ジョディー・フォスター)の行動に対して沸き上がってくる複雑な気持ち。
正義とは何なのか。
法治国家において、法で裁ききれない悪人を個人の判断で裁く事は決して認められるものではない。
でも、その法は万能ではないのであって…。
タガが外れたかのように誰かがやらねばと、勝手に十字架を... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 14時16分
» ブレイブ・ワン [eclipse的な独り言 ]
あのぉ・・・・こんなのありでしょうか? [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 17時42分
» ブレイブワン [心のままに映画の風景]
ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティを務めるエリカ(ジョディ・フォスター)は、婚約者であるデイビッド(ナビーン・アンドリュース)との挙式を目前に控えていた。
ある日、愛犬を連れて散歩に出かけた2人は3人組... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 19時32分
» 「ブレイブ ワン」 The Brave One [俺の明日はどっちだ]
民衆か。やつらは、ときどきなんとまあ底ぬけに愚鈍になれるもんなんだろう。殺人犯に対する法的な制裁。殺人者を思うままに跳梁させる言葉の抜け穴だ。 しかし最後には民衆がみずからの正義を持つのだ。彼らは、ときには俺のような男を通して正義という物を思い切るのだ。 奴らは世間をいたぶるのだが、俺はやつらをいたぶってやるのだ。
(「裁くのは俺だ」ミッキー・スピレイン)より
かつて今はなきプラザホテルに住んでいたエローイズに夢中となり、ホテルチェルシーでのシドヴィシャスに思いを馳せ、その他ニューヨークの街の失われ... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 20時10分
» 「ブレイブ ワン」 [てんびんthe LIFE]
「ブレイブ ワン」試写会 ニッショーホールで鑑賞
「許せますか彼女の”選択”、これが、彼女の答え」このキャッチコピー、かなりはまってます。
共感はできるんだけれども、自分に置き換えることはなぜかできません。それはピストル。片やアメリカ、こちらは日本。その違いがはっきり出ていると思います。ピストルを持ったことでそこまで復讐心にかられるかどうかはわからないけど強気にはなれるんでしょうね。警察で容疑者として面通しさせられても釈放させてしまうすごさ、普通の女性だったら捕まってよかったと思うはず。日本... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 21時00分
» 「ブレイブワン」 [かいコ。の気ままに生活]
10/24 試写会で 観てきました。「ブレイブワン」公式サイトあらすじ:ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティを務めるエリカ(ジョディ・フォスター)は、婚約者であるデイビッド(ナビーン・アンドリュース)との挙式を目前に控えた身。しかし、ある日の夕暮れ...... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 21時38分
» 映画 【ブレイブ ワン】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「ブレイブ ワン」
ジョディ・フォスターが主演と製作総指揮を務めるサスペンス。
おはなし:NYでラジオ番組のDJを務めるエリカ(ジョディ・フォスター)は、婚約者のデイビッドとの挙式を目前に控えていた。ある日、愛犬を連れて散歩に出かけた2人は3人組の暴漢に襲われ、エリカは意識不明の重態、デイビッドは命を落としてしまう。
エリカは幸福の絶頂にいたのに、暴力を受けて3週間のこん睡状態から醒めてみればそこには以前とは全く自分がいたのです。愛する人を失って大きな喪失感に襲われ、それまでNYと... [続きを読む]
受信: 2007年10月31日 (水) 23時58分
» ブレイブ ワン [りらの感想日記♪]
【ブレイブ ワン】 ★★★★ 2007/10/16 試写会(26)ストーリー ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティを務めるエリカ(ジョデ [続きを読む]
受信: 2007年11月 1日 (木) 00時17分
» 賛否が分かれそうな結末。『ブレイブ ワン』 [水曜日のシネマ日記]
暴漢に襲われて婚約者を亡くした女性の物語です。 [続きを読む]
受信: 2007年11月 1日 (木) 00時44分
» 映画〜ブレイブ ワン [きららのきらきら生活]
☆公式サイト☆婚約者との幸せな未来を夢見ていたヒロインが、暴漢に襲われて婚約者を亡くしたのを機に、悪に制裁を加える“処刑人”と化すサスペンス・スリラー。監督は『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン。ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティを務めるエリカ(ジョディ・フォスター)は、婚約者であるデイビッド(ナビーン・アンドリュース)との挙式を目前に控えた身。しかし、ある日の夕暮れ、愛犬を連れて散歩に出かけた2人は3人組の暴漢に襲われ、エリカは意識不明の重体となり、デイビッドは命を落としてしまう。... [続きを読む]
受信: 2007年11月 1日 (木) 06時15分
» ブレイブワン [映画でお喋り♪猫とひなたぼっこ]
予告は一度も観なかった。
ポスターは チラっと見た記憶はあるが
10月27日公開作品の中に この題名を見つけても
ジョディ・フォースター主演と結びつくまで ちょっと時間がかかった。
とりあえず
ジョディ・フォースター主演だから 観ておこうか・・という軽い気持で出かけた・・・・・
なんか 暗そうなポスターの図柄だな・・と思っていたが
まさか こんな映画だったとは・・!!!
とにかく 非常に気分の悪い 胸糞の悪い映画を観た・・という気持です。
途中で出ようかな?? と 2、3回思いました。
映画に... [続きを読む]
受信: 2007年11月 1日 (木) 17時20分
» ブレイブ・ワン Brave One [いい加減社長の日記]
たぶん、あまりタイプではない映画だろうけど、気になっていたので「ブレイブ・ワン
」を選択。
珍しく金曜のレイトショーで。
「UCとしまえん
」はガラガラ。
「ブレイブ・ワン
」も、大きめのスクリーンだったけど、1割程度?
平日のレイトショーって、こんなもん?... [続きを読む]
受信: 2007年11月 3日 (土) 12時52分
» ブレイブ ワン [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
『許せますか、 彼女の”選択”』
コチラの「ブレイブ ワン」は、10/27公開となったR-15指定のクライム・サスペンスなのですが、遅ればせながら観て来ちゃいましたぁ〜♪
監督は、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」、「ことの終わり」のニール・ジョーダン....... [続きを読む]
受信: 2007年11月 4日 (日) 21時17分
» ブレイブ ワン [CINEMA正直れびゅ<ネタバレあり>]
先月、台湾に行った時、丁度公開日にあたってたのがこの映画。劇場前は、ジョディーのドアップポスターだらけだった。日本より早い公開に、「台湾いいなー」と思ったさ。待つこと1... [続きを読む]
受信: 2007年11月 4日 (日) 21時24分
» 【劇場映画】 ブレイブ ワン [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
ニューヨークでラジオのパーソナリティを務めるエリカ・ベインは、婚約者のデイビッドと公園を散歩中、暴漢に襲われた。病院で意識を取り戻した彼女はデイビッドが死んだことを告げられ、悲しみに打ちひしがれる。自らの心にも傷を負い、満足に外出することもできなくなってしまった。そこでエリカが手にしたのは一挺の拳銃。そしてある日、偶然立ち寄ったコンビニで、強盗にその弾丸を発射するのだった……。(goo映画より)
作品の結末には賛否両論でしょうね。
私としては、やはり認めたくは無いですけれど... [続きを読む]
受信: 2007年11月12日 (月) 22時06分
» ブレイブ・ワン [自閉世界]
映画を公開初日に観たのはコレが初めてである。 本作は、そのプロットが筆者の大 [続きを読む]
受信: 2007年11月17日 (土) 02時06分
コメント
良かった~
私と同じようにこの映画を不快に思ってくれた人がいて・・
映画の出来はフツウでも内容は ひどい・・というのが 感想です。
TBさせて頂きます。宜しくお願いします。
投稿: 猫 | 2007年11月 1日 (木) 17時17分