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クローズド・ノート 【称号:佳作+】

Closed_note_cinema
教師を目指す大学生の香恵は、引っ越し先で前の住人のノートを見つける。持ち主の伊吹は教師で、仕事や恋の悩みが日記につづられていた。香恵は日記に刺激を受け、バイト先で出会った青年画家への思いを募らせていく。(MovieWalkerより抜粋)

いい映画だけに沢尻エリカさんのご機嫌ナナメな舞台挨拶がもったいない。この映画で彼女のファンになった人もたくさんいただろうに残念です。「太陽の子」と聞いてエステバンを真っ先に思い浮かべた……年齢がばれる……。

『エリカ様』ばかりが話題になってしまいましたが、映画の完成度は高いと思います。原作は雫井脩介の同名小説。雫井さんの小説は好きなので原作も読みました。この作家さんの作品って『犯人に告ぐ』『火の粉』にしてもそうなんですが全体的にプロットやトリックが弱い。本作も恋愛ものでありながらミステリ的趣向が仕掛けてある。でもそこが欠点なんだなあ。オレオレ詐欺に4回以上引っかかるおばあちゃんでも本作のトリックは早い段階で読めてしまうでしょう。
Closed_note_cinema_1
でも雫井さんの作品はプロットの弱さを補ってあまりある文章描写力があります。とにかく巧い。さらさら読めるのに物語の情景やキャラクターの心情が手に取るように伝わってくる。たとえば嫌味な人間の嫌味加減が絶妙だったりします。彼の細かな言動の端々が気に障る。巧みな文章で読者の嫌悪をあぶり出していきます。

さて映画の方ですが思った以上にいい作品に仕上がっています。沢尻をはじめとするメインキャラの3人はそれぞれ素晴らしい演技を見せてくれます。行定監督のノスタルジックでどことなく切なくなるような映像もストーリーに見事にマッチしている。そして何より物語の主人公となる日記に記載された文章が素晴らしいんですよね。それを読み上げる竹内結子さんの大人びた声もとても心地よい。

物語は日記を読む香恵(沢尻エリカ)と日記の主である伊吹先生(竹内結子)の独白パートに分かれています。香恵は日記を読みながら伊吹先生への愛着を積み重ねていく。伊吹先生の苦悩や喜びに深く感情移入していくのです。伊吹先生がそうであったように香恵はある男性に恋愛感情を抱いていく。日記に刺激を受けている香恵は伊吹先生と同じような言動でその男性に思いを募らせていくのです。

なんといっても伊吹先生を演じた竹内結子さん。ここ最近は女優としても女性としてもさらに磨きがかかっている。まずは伊吹先生に大いなる魅力がないとこの作品はどうにもならないのですが、そんなプレッシャーなんてまるで感じさせない。自分の思いに正直に生きる実直な女性をしっとりと演じてます。この色気とはまた違ったしっとり感がたまらなくいいんですね。ルックス以上に内面的な輝きや美しさを感じます。
Closed_note_cinema_2
問題の沢尻エリカさんだけど彼女も魅力的だった。小悪魔的もいいけど彼女はやはり清純な女性を演じさせた方がずっと光ります。とはいえ女優さんはやはりイメージも重要だ。あんな騒ぎの直後だとどうしても「クソ生意気なガキ」というバイアスがかかってしまう。人間が感情の生き物である以上、作品の印象にも関わってしまいます。彼女を含めてスタッフもキャストもいい仕事をしていただけに残念でした。

映像的には香恵の部屋が心地よかったですね。京都のイメージに合ったクラシカルでどことなく文学的な薫り漂う薄暗いインテリア。それが日記を書く伊吹先生にほどなくマッチしている。万年筆など文房具へのこだわりも好感が持てる。

ただ脚本があまりよろしくない。サエコ演じる友人の恋人・カシマの存在も中途半端に処理されてしまっている。原作ではねっとりと嫌悪感たっぷりに描写されていてそれが味になっていたのに。それだったらバッサリと切って上映時間をもっと短縮するべきだ。どうも行定監督の作品は上映時間が無駄に長い。
終盤で明かされるサプライズをカモフラージュするためのミスリードもかえってバレバレで痛々しい。とにかくこんな見え見えのサプライズで138分も引っ張ったあげく「どーだぁー!」って明かされても観客としては失笑するしかありません。

というかだいたいなんであのノートがあの部屋に残っていたのか? 伊吹に起こった真相からすればあの部屋にノートが置いてあるはずがない。それが一番のミステリなのだ!!!!!

さて映画を見た人は小説の「作者のあとがき」を読むことをオススメします。文庫版に掲載されているか分かりませんがハードカバーには掲載されています。実はこれが一番の泣かせどころなんですよ。ある意味一番のトリックでもある。映画見た人は小説本体は読まなくてもいいからあとがきだけは読んでみてください。映画が今ひとつ感動できなかった人も胸を突かれるかもしれません。(68点)

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コメント

TBありがとうございます。TB返しをさせて頂きます。
余計ながら謎解きをひとつ。

>伊吹に起こった真相からすれば
伊吹先生は終業式のあとに○○したのですが、
お別れ会は終業式の前日に行った設定らしいですよ。
どうりで教室はゴミだらけ。

投稿: 豊中 | 2007年10月16日 (火) 01時22分

●豊中さん

なるほど!! ありがとうございました。謎が解けました。
やあ~、いくらなんでもこんな設定ミスはないだろうと思ってましたがそういうことだったんですね。

投稿: 管理人 | 2007年10月16日 (火) 07時56分

TBありがとうございました。
確かに無駄に長いと感じました。それなのに一番のミステリーについては説明不足(というか説明されていない)だったんですね。

投稿: ももたろうサブライ | 2007年10月16日 (火) 20時49分

ももたろうさん、はじめまして!
この監督の作品は無駄に長い。先日みた『遠くの空に消えた』なんて退屈で辛かったですよ(笑) もう少しすっきりまとめてくれればいいのに。

投稿: 管理人 | 2007年10月17日 (水) 00時22分

 こんにちは♪
 TBどうもありがとうございました。

 私もこれ、思った以上によかったです。
 伊吹先生が、すごくいいんですよねー。
 竹内さん、見直しました。

 原作読んでないんですが、読みたくなりました。
 図書館で予約しなくては^^

>とにかくこんな見え見えのサプライズで138分も引っ張ったあげく「どーだぁー!」って明かされても

 これ、大笑いしました。
 ほんと同感です(笑)
 映画自体はよかったんですけどね。

投稿: miyukichi | 2007年10月20日 (土) 15時12分

遅ればせTBありがとうございました。
「エステバン」って、懐かしいですよね!面白かったし。

沢尻エリカは清楚な姿がかわいくて良かったです。舞台挨拶の件はがっかりでしたが・・。

小説は読んでないのですが、「作者のあとがき」が気になりますね。どんなトリックなのかな~今度見てみます。

投稿: たまさん | 2007年10月22日 (月) 01時56分

たまさん

エステバンをご存じとは(笑) 面白かったですよね。
僕も沢尻さんは良かったと思います。原作のあとがきはぜひ読んでみてくださいね。トリックというほどではないけど心を打たれました。

投稿: 管理人 | 2007年10月22日 (月) 12時11分

確かに長かったですね。

サエコはミスキャスト、浮いてました。

変に伏線を敷いたおかげで、
逆に無駄なシーンが切れなくなってしまっている、
ってことはないでしょうか。

マンドリンも中途半端です。
あれだけ引っ張って、忘れました、だもんね。

投稿: KGR | 2007年10月22日 (月) 17時35分

>>マンドリンも中途半端です。
あれだけ引っ張って、忘れました、だもんね。

あのシーンは沢尻エリカさんの演技じゃない姿を見ているようでした。

サエコのシーンはともかくサエコの彼氏とのシーンが逆に足りてなかったような気がします。長いわりに描くべきところはきちんと描いていないような気がしますね。

演出や脚本より役者たちの力で引っ張っていった映画だと思います。今思うとそれほど悪くないんですねよね~。

投稿: 管理人 | 2007年10月22日 (月) 17時39分

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