不完全なふたり 【称号:ゴミ】
諏訪敦彦という監督。その名を初めて耳にしたのは『パリ、ジュテーム』を見たとき。この映画はパリを舞台に20近くの掌編からなるオムニバス形式のドラマで日本から唯一参加していたのがこの人。ジュリエット・ビノシュを主演に亡くなった幼い息子の幻想を描いたファンタジーでなかなか印象的なエピソードだった。そんな彼がまたもパリを舞台にフランス人役者を使って撮った作品がこの『不完全なふたり』である。

フランス映画が苦手だという人も少なくない。実は僕もかつてはその一人だった。中学生のころはフランス映画と聞いただけでうんざりしたのものだ。「ヌーヴェルバーグ」という単語を聞いただけで蕁麻疹が出た。フランス映画というと「どーでもいいことをダラダラ垂れ流す退屈な作品」というイメージがある。
たとえばモンマルトルのカフェに座ってボーッとしているシーンを延々と流す。何か起こるのかなと思ってガマンしながら見ていると何も起こらず次のシーンへ移る。今度はダイニングルームの二人の男女が会話を一切せずに黙々と食事をする。見ている方としてはアホらしすぎて見ていられない。スキャナーズみたいに頭が吹っ飛んでくれないかなと思ってもそんなサービス精神の欠片もない。2時間たっぷりかけたその作品は不必要なシーンを削ればトム&ジェリーの1話分くらいに圧縮できたはずだ。
本作も悪い意味でのフランス映画だ。フランスかぶれの監督がヌーヴェルバーグを猿まねしてみたらどうにも楽しみようのない映画になっちゃった……という感じだ。
だいたいストーリーなんてあってないようなもの。破局寸前の夫婦が安ホテルの部屋の一室でダラダラしているだけ。困ったことに会話よりも沈黙が多い。カメラは定点設置で動かない。役者たちは平気でカメラの死角へ出入りする。ホテルの部屋も東横インみたいに質素で面白味もクソもない。だいたいせっかく舞台が花の都パリなのにカメラが外に出ることはほとんどない。ただひたすら二人の続かないやりとりを見つめているだけ。

小粋な会話劇でも見せてくれればまだ救われるのだが、そんなつもりは毛頭ないらしい。福田総理の自問自答みたいにつまらない。まだそれでも会話があるならマシな方で上映時間の多くは沈黙だ。これだったらサイレント映画でもいいじゃないかって思う。ベッドに腰掛けて鬱になっていたり、ロダンのつまらない彫刻を眺めていたり。
そんな感じだからストーリー展開なんてないに等しい。観客にとってこういう映画はとても辛い。取り立てて美しくもない中年男女のほとんど変化のない一日を見せられても困っちゃうのだ。もちろんそこにメッセージやテーマなんて見あたらない。場面は薄暗いホテルの一室がほとんどなのでパリの華やかさもまったく楽しめない。途中、女優さんが意味もなくヌードを見せてくれるが、そんなんで「メルシーボクゥ~」と喜ぶほど僕はお人好しじゃない。監督はこの映画で何を描きたかったのか僕にはさっぱり判らないし知りたくもない。もっと楽しませてちょうだいシルヴプレィ~だ。
しかしこういう退屈きわまりない映画に限って一部のインテリ評論家あたりから絶賛されたりする。それを狙ったということか。とにかく映画鑑賞を娯楽の一環だと思っている人にはとても勧められるものではない。(33点)
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