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プラネット・テラーinグラインドハウス 【称号:佳作+】

Planet_terror
米軍の失策でテキサスの田舎町に生物化学兵器が流出し、感染者は次々と凶暴なゾンビになった。ダンサーのチェリーはゾンビに片足を食われるが、義足代わりにマシンガンを装着。追っ手の米兵やゾンビたちに戦いを挑む。(MovieWalkerより抜粋)

デス・プルーフに続くグラインドハウス系作品。今回はゾンビにビッチにレズビアンとエログロ炸裂です。愛子さまにはとても見せられません。

Planet_terror_1
グラインドハウスとはアクションやらバイオレンスやらエロといった低俗B級映画を数本仕立てで公開する場末の映画館のこと。今のシネコンみたいにきれいで清潔なイメージとはほど遠く、トイレなんか覗いたらあまりの凄まじさに食欲なんて吹っ飛んじゃうほどひどかったらしい。客席には一人くらいリアルな死体なんか転がっていたりする。映写設備も最悪でフィルムが飛んだり切れてしまうことは日常茶飯事で音声と場面とがずれているなんてことも珍しくない。

そんな映画館でかかる映画なんてパルムドールやオスカーとは対極の存在だ。出てくる女優はリアルなビッチばかりだし、男どもも売れないポルノ男優くずれ。ヘップバーンやクラーク・ゲーブルなんて死んでも出てこない。そんな彼らの織りなすストーリーにモラルの欠片も窺えない。せっかくニンテンドーDSでやわらかくした頭も見れば見るほど知能指数が低下してしまうので要注意だ。添加物や着色料を大量に使った甘ったるくてベタベタする頭の弱い娘が好む菓子のようなまさに社会の最底辺を象徴する映画です。

そんな当時の作品の雰囲気を再現したのがこのシリーズ。デス・プルーフはクエンティン・タランティーノ監督だったがこちらは彼の盟友ロバート・ロドリゲス。まさに映画ヲタク向けな人たちだ。度を過ぎた遊び心とか人間としての一線を越えたブラックジョークが理解できない人にはオススメできない。特に障害者や女性に対する人権に過敏な人は絶対に見ないでほしい。鬱陶しいから。

米軍基地から生物化学兵器が流出して感染者はゾンビになってしまうという1年に3回くらいはお目にかかる定番ストーリーだ。心なしか最近はゾンビ映画が続く気がする。いかにも安直な設定だがロバート・ロドリゲス監督はストーリーよりもグラインドハウスらしさに力を入れている。たとえば映像にわざと傷をいれたり音声にノイズを加えたりする。さらにはときどき場面が飛んでしまう場末映画館ならではのアクシデントを再現する懲りようだ。本編に入る前に次回上映予定作の予告編まで作っている。

登場人物もヘンなやつらばかりだ。男性のタマを収集している妙に勇敢な科学者やガーダーベルトに注射器を武器にする妙に美人なナースやどんなピンチに陥ってもレシピのことばかり考えているバーベキュー屋のオヤジなど変人ぶりもバラエティ豊かだ。
Planet_terror_2
そしてなんといってもきわめつけはゾンビに足を食いちぎられた主人公。ビッチのくせして妙に可愛らしい女性だ。その足にマシンガンを装着してゾンビたちと戦う。ヒロインはダンサーなのでゾンビ相手に軽やかな動きを見せる。このかっこいいんだかアホらしいんだか分からない戦闘シーンは面白い。ミサイルが飛んできてもブリッジでよけてしまうシーンは笑いどころだ。そんな彼女がマシンガンを引きずりながら障害者さながらに歩くシーンは不謹慎なブラックユーモアといえる。

銃撃戦も必要以上に派手でゾンビも肉や内臓がはじけ飛ぶように損壊していく。セガのゲームにハウス・オブ・ザ・デッドというガンシューティングがあるがそれを彷彿させる。残虐きわまりないシーンだがヘンな爽快感もあったりするのだ。

とはいえやはり70年代のグラインドハウスものとは根本的に違う。一見チープに見える映像だが各所でCGが駆使されているし相当に金がかかっていると思う。グラインドハウスは正真正銘のチープだがこちらはチープなふりをしているだけ。ヒルズ族がネット難民のまねをしているようなものだ。

前作のデス・プルーフinグラインドハウスはグラインドハウスらしさというリアリティにこだわりすぎてストーリーのつまらなさまで再現してしまった。そのため多くの人たちには退屈な映画になってしまったはずだ。あれで満足できるのはよほどの好き者だろう。その点、本作は見せ場も多いしストーリーも楽しめるので間口が広くなっていると思う。それ以前にグラインドハウスにこだわらなくても1本のゾンビ映画として成立しているだけのクオリティはあったと思います。(66点)

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